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ヨンセイ大学への留学

2007年9月、短期研修のため韓国の延世(ヨンセイ)大学へ行きました。2005年から開始された交換留学プログラムの一つで、延世大学と聖路加看護大学、それぞれ4名の学生が参加し、お互いの国に2週間滞在します。授業参加や病院見学を通じて学生たちとの文化的・学術的交流を深め、豊かな国際感覚を養うことを目的としています。

延世大学はソウルにある韓国ではかなり名門の私立総合大学です。看護学部の他に、医学部、法学部、音楽学部などもあります。キャンパスは日本の大学からは想像できないほどの広さで、寄宿舎から学部校舎までは徒歩20分、寄宿舎から正門までは40分もかかりました。延世の学生たちと一緒に寄宿舎へ帰る時はコミュニケーションの時間が長くとれて嬉しく思いました。キャンパス内には大学附属の病院や飲食店、博物館までありました。山や木々で囲まれていて、空気も景色もとてもきれいでした。

韓国では英語教育が日本よりも優れていて、学生たちは英語が上手でした。日本語を話せる学生も何人かいました。日本の映画やドラマ、アニメやコミックは韓国で大人気!!日本での韓流ブームならぬ、韓国でも日流ブームなのでありました。
延世の学生たちは将来のビジョンをしっかりと持っていて、お互いの夢や思いを寄宿舎のロビーで語り合ったりしました。教授や職員の方も私たちの予定のみならず、身体のことを気遣ってくださり、大変感謝しています。

物事のイエス・ノーをはっきり言い、情に厚い韓国の人たちのバイタリティやホスピタリティに触れ、私たちは心を動かされたような気がしました。その思いを看護という仕事に生かしたいと思います。韓国の皆様、聖路加看護大学の皆様、このような素敵な研修に参加できたことを感謝します。カムサハムニダ!(日本語で「ありがとう」の意味です)

 



ウェルカム・パーティー
延世の学生が私たちの歓迎会を開いてくれました。場所は学生が自由に使って良い多目的ロビーです。この後、偶然その日が誕生日だった聖路加の学生にケーキのサプライズをしてくれ、それから学生街にある美味しいチキン料理の店へ連れて行ってくれたのです。

延世大学看護学部の校舎
看護学部の校舎です。学生食堂やホールが別にあるので、聖路加の校舎よりスリムでした。
学生食堂はデパートのレストラン街のようでした。お店がたくさんあって、注文が入ってから調理するので熱々で美味しかったです。
延世大学附属セヴランス病院
写真は2005年に完成した新しいセヴランス病院です。病院内は開放感にあふれ、人口照明を少なくして自然光を取り込める構造になっており、患者さんや家族が穏やかに過ごせるように配慮されていました。病床数1006床、1日の外来患者数6500人です。

セヴランス病院の起源となった病院
セヴランス病院が建てられる前から病院として使われていた建物です。日本の寺と非常に似ています。同じアジア人として親近感を感じました。
 


VIPルーム(病室)
あのキムデジュン元大統領も以前に利用したというセヴランス病院のVIPルームです。患者の部屋の他にも、会議室、家族の寝室、リビングなどを含め全5部屋あります。浴室にシャワー室、トイレは2個ありました。3クラスあり、Aクラスの宿泊費は一泊1750ドル(約20万円)です。

広い病院もコンピュータがあるから迷わない
自分が受診したい科までの順路を説明してくれます。パネルタッチ方式で簡単操作です。
看護学部校舎 演習室
聖路加のアーツルームと同じです。検温や気管挿管など、実技の授業を行います。韓国の病院の看護師は基本的にシーツ交換や清拭を行いません。家族を大切にする韓国では、病気になった家族の身の回りの世話は家族がしてきました。ただ、最近は韓国でも日本と同じく核家族や高齢者の独居が多くなり、家族によるケアが困難なため、ヘルパーを雇う家族もいます。

延世大学では実技演習の授業では白衣を着ます。
私服の上に着るだけなので、座学の授業の後でもすぐに着替えて演習室に移動できます。
こちらは病棟実習着です。
白衣と違って動きやすく、患者さんが安心できる配色になっています。

演習用ロボット(赤ちゃん用)
患者の様々な症状がロボットの中のコンピュータにインプットされています。症状に応じて適格な処置を行うと血圧や脈拍や呼吸数などが正常に戻ります。学生が実技演習を行う時に使います。その様子をワンウェイミラーの向こうにいる教職員がチェックしています。もう一体、大人用のロボットもありました。
気管挿管の実技演習
自発呼吸が困難な時や、手術で麻酔が必要な患者さんに対して行います。

看護学部の「サムルノリ」サークルの定期演奏会
サムルノリは韓国の民族芸能の一つです。「サ」は数字の「4」、「ムル」は「物」、「ノリ」は「遊び」という意味です。太鼓や鐘など4種類の楽器を円になって踊りながら演奏します。日本の祭りの太鼓とはまた一味違う独特なリズムで、とても躍動感溢れる演奏でした。曲と曲の間には、学生たちが考えた寸劇(ショートコント)もあり、会場は笑いや歓声で大盛り上がりでした。
Community サムルノリを実際にやってみました!
実際に叩いてみましたが、かなり難しいです。4種類の異なる楽器、異なるリズムが一つになるのですから、演奏の素晴らしさに改めて感動しました。

寄宿舎のロビーにて
看護学部生とは同じ寄宿舎だったので、一緒に食事をしたり話をしたり、楽しい時間を過ごしました。寄宿舎には自習室もあって、試験前になると満席になるそうです。もちろん校舎の中にも自習室はあります。
キムチ冷蔵庫
キムチ用冷蔵庫です。韓国の人たちはキムチが大好きで、ほとんどの家庭で自家製キムチを作っています。飲食店に行くと必ず前菜としてタダで出されますし、おかわりもタダです。日本のキムチと比べてかなり辛かったです。

屋根の上に大量のトウガラシ
これはキムチの原料のトウガラシを天日干ししているところです。韓国はトウガラシの年間消費量(一人当たり)が世界一です。
 


セヴランス病院敷地ないにある保育園
病院と同じ敷地内にあるので出勤とともに子どもを預けて、退勤する時に一緒に帰ることができます。子どもがいる医療従事者はとても助かります。また、親子ともにすぐ近くにいるので、お互いに安心できます。


2007年9月 


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