夫のかわりはおりまへん
-前高槻市長の介護奮戦記-

2008.10.21
夫のかわりはおりまへん<br />-前高槻市長の介護奮戦記-

著者:江村 利雄
出版社名:徳間書店
発行年日:1999年12月
価格:\1,680
ISBN:978-4198611071

記者会見で「市長のかわりはおっても、夫のかわりはおりまへん」という名言を残し、1999年、任期半ばで市長の座を退職された前高槻市長を覚えている方は少なくないでしょう。当時、美談とされてマスコミをにぎわしましたが、寝たきりの妻との生活のはじまりは悪戦苦闘。ようやく掴んだ「わし流介護」にたどり着くまでを赤裸々に本音で語っています。

「介護は女の役目ではない、元気な方が介護をすればいい。」

50年連れ添った妻、ある日突然骨粗しょう症が悪化し、入退院を繰り返すうちに「痴呆症」「パーキンソン病」を併発してしまい、とうとう公職を辞して介護生活に入ります。それまで家のことは何もかも妻に任せきりだった著者が、オムツの交換から食事の支度まで全てを引き受けますが、苛立って「平手打ち」してしまったり、介護疲れのために「早よ死なんかな」と思ってしまったり、介護をしている人なら誰もが感じる苦労の様子を隠さずそのまま書いています。

「独自の論理で介護生活を良くしていく。」

たどり着いた「わし流介護」は、ハチャメチャながらも独自の論理で介護生活を良くしていきます。あまり一生懸命になりすぎず、介護する側が楽しく暮らす事が、気持ちよく介護するコツ、いい加減"くらいの介護がちょうどいいということです。
例えば、化粧をさせてあげるれば、医者からは「顔色がわからなくなるからやめてくれ」と言われてしまいますが、そんなことよりも喜ぶことを忠実に実行します。介護をしながらも自分の大好きな「朝ビール」の時間は必ず作り、飲み会には出かけます。
24時間付きっ切りでいることが必ずしもいい介護ではないと考えているのです。

「介護は、世間体や義務でするものやない。心でするもの」本来の形でありながら、思うようにはいかないのが現実でしょう。『自分を追い詰める日々でなく、笑って過ごせる日々でありたい』と思う方に介護を楽しくする数多くのヒントが、介護の様子を通して大阪弁で明るく書かれています。
男の介護、という点でも珍しい1冊です。

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