ペコロスの母に会いに行く

2013.03.21
ペコロスの母に会いに行く

著:岡野 雄一
出版社名:西日本新聞社
発行年日:2012年6月
価格:\1,260(税込)
ISBN:978-4-8167-0853-4 C0095

東京から故郷長崎に出戻った息子ペコロスと、施設に暮らす認知症の母の介護日誌漫画です。作者の岡野さん(ペコロス)が母との日常の様子を書いた漫画が地元のタウン誌で連載され人気となり、自費制作本は長崎市の老舗書店で2カ月間売り上げ1位を記録しました。その後、西日本新聞社の目に止まり刊行されますが、介護の日々に明るい希望を届ける一冊として多くのマスコミやネットで取り上げられ、実写版の映画化も予定されています。

最近の、ホームでの母との挨拶の儀式。「ようハゲて、誰に似たもんやろ」と母が息子の頭をなでなで。息子は「...(知るかい)」。頭をペチと叩かれ、「...(モチツキかい)」。でも、この齢(とし)で、親から撫でられるのも、褒美みたいで悪くない...
表紙に使われているシーンは、こんな親子の愛情あふれる場面です。
その他にも、母が見せる「人生の重荷を下ろしたとびっきりの笑顔」や、著者のはげた頭を見て名前を思い出すエピソード、時折つぶやく亡き父との思い出話など、悲劇になりがちな介護の日々の出来事を明るくユーモアいっぱいに描いている、ちょっぴり笑えて温かく、どこか切ない家族の物語です。

時には辛く泣きたくなるような出来事もある介護ですが、少し視点を変えて外からみてみると、辛い出来事もちょっとした笑いを誘い、しみじみとした気持ちにさせてくれるでしょう。
柔らかく優しいタッチの絵。家族への深い愛情にあふれた文章。美しい街の情景の中で繰り広げられる長崎弁の温かい会話。家族が一緒にいれることの幸せを感じさせてくれる一冊です。

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