「看護は人との出会いの仕事」

2005.07.01
横山 美樹
  • 2005/07
  • 看護師:横山 美樹

現在、私は看護の基礎教育に従事していますが、看護大学卒業後、晴れて看護師として病院に勤務し多くの患者様と出会った経験は、今でも鮮やかによみがえってきます。

私が勤務したのは呼吸器系、皮膚科の混合の病棟で、呼吸器系は、重症の喘息の患者様、慢性の呼吸不全で入退院を繰り返す方、肺がんの方等が多く、特に慢性疾患の方は、残念ながら完全に治癒するというわけではなく、症状が軽快して退院されても何ヶ月後にはまた入院されるという「お馴染み」の患者様も多くいらっしゃいました。

患者様の多くは、壮年期、老年期の人生経験豊かな、また社会的に大きな役割を持った方も多く、まだ20歳台前半の、社会経験も少ない私からみると「すごい」人ばかりで、そのような人たちとの出会いがあるということが、まず看護師としての醍醐味のひとつだと感じました。もちろん、この方たちも健康でさえあれば病院にいることなく普通に家庭生活、社会生活を営んでいるはずが、「病気」になってしまったために病院での生活を余儀なくされ、病気に苦しめられているわけです。看護師は、そのような患者様の病院での生活を支える役割をもっていますが、そのためには疾患、治療に関する知識、身体に関する知識はもちろんのこと、心理的なこと、社会的なことなど含めて、「患者様全体」をとらえて援助することが求められます。

ただし言葉で言うのは簡単ですが、まだ人生経験、社会経験も浅い看護師にとって患者様を「理解する」ということは本当に難しいことです。今思い出しても、私自身多くの患者様との出会いによって「教えられる」ことは多かったのですが、自分が患者様を「理解」できていたかというと、残念ながらできていない部分が多かったと思います。聖路加看護大学理事長の日野原重明先生が、入学式等で学生たちに「感性をみがきなさい」とよくお話されますが、私も今更ながら「感性」の大切さを感じています。

患者様がふとした拍子に話される一言が非常に意味深いものであること、あるいは何もおっしゃらなくても身体全体で表現される患者様のメッセージは、感性なくしてはキャッチできません。忙しい勤務の中で一人の患者様と接する時間は限られますが、その短時間でも何となく患者様と心が通じ合うひと時をもてた場合は非常に嬉しく、このような時を過ごせることが看護師としてやりがいを感じる瞬間でもあり、また「頑張ろう」と思える瞬間でもあると思います。そしてそのような瞬間をいくつか経験できたことは私の今の財産ともなっています。

●研究ページ
・日常生活援助のための看護技術

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