「生きがい探し」

中村 希
  • 2007/01
  • 聖路加国際病院 女性総合診療部・生殖医療センター
  • 看護師:中村 希

私は女性総合診療部・生殖医療センターという外来で看護師をしている。2003年にNPO法人日本不妊カウンセリング学会主催の不妊カウンセラー認定を得て、不妊症の方に関わらせていただき6年目になる。当科には、婦人科系疾患、腫瘍、思春期、妊産婦、不妊、更年期などさまざまな方が通院している。今年度、新たに腫瘍外来、リプロ外来、男性不妊外来が設立された。日々医療が進歩する中、学生の頃に学んだ知識はすでに過去のこととなり、患者さんの抱える不安や悩みや背景も多岐にわたるため、対応に苦慮する場面も多い。情報化社会でインターネットなどを通じ、患者さんも多くの情報を持っており、私たち医療者も常に医療・看護の最新情報に関心を向けている必要がある。そのため仕事の合間をぬっては関連学会や講演会、勉強会に積極的に参加し、カウンセリングの知識・技術を深めるために、大学で心理学を勉強中である。

先日「健康と生きがい」という科目を受講した。これは(財)健康生きがい開発財団が認定する「健康いきがいづくりアドバイザー」の資格取得に関連した科目であるが、資格に挑戦しない人でも自分の健康や生きがいについて考え方を整理するために役立つ内容である。「健康と生きがい」とは人の命に携わる看護師に大いに関連がある。

広辞苑には健康とは「身体に悪いところがなく心身がすこやかなこと」、生きがいとは「生きる張りあい、生きていてよかったと思えるようなこと」、やりがいとは「するだけの値打ち」とある。看護師は人のために献身的に奉仕するが、その勤務時間や内容はハードで自らの健康管理は二の次になっている部分も多い。実際に、一日の大半は病院で過ごし、家には眠るためだけに帰るという看護師もいるのではないだろうか。立場などの違いはあるが、看護師の仕事に多くの人がやりがいを感じているであろう。自分も微力ながらも、患者さんの力になれた時は喜びややりがいを感じる。仕事にやりがいを感じることは大いに結構なことであるが、やりがいと生きがいを混同し、仕事だけが人生・生きがいとなると少々物足りないと考えてしまう。もちろん仕事が生活や自分自身の支えになっている部分も多いが、仕事への熱意と使命感だけでは看護師に多いといわれるバーンアウト(燃え尽き症候群)を起こしかねない。

講義の中で、仕事以外に趣味や好きなことをする時間はあるか、家族や自分のために費やす時間はあるか、半年後、1年後、5年後、10年後、結婚や出産や定年後のことなどライフプランを考えるというものがあった。現状が忙しく先のことは想像もつかないかも知れないが、こうなりたいとか希望や予想でも紙に書いてみると整理がつくこともある。

自分自身に振り返ると、好きなことは通勤電車でパトリシア・コーンウェルシリーズを読むこと、お笑い番組を家族揃って観て笑うこと、大学の仲間との旅行や、地域の家族ぐるみで行く蓼科旅行も楽しみの一つである。文章にしてあらためて趣味が旅行だったことに気がついた。数年以内には息子に兄弟が生まれ、学生時代にしていたバドミントンを教えながら楽しみ、子育てが落ち着いたら習いたかったピアノを始め、少々早めに仕事を整理して夫の実家の居酒屋を夫婦で切盛りしたい。細かいことは漠然としていたので、にやつきながら未来予想図を作成中というところである。

今年入職したばかりの新人看護師、2年、3年目の看護師、中堅看護師の方もライフプランをイメージして、趣味や好きなことの時間を持つと、それを楽しみに仕事に張りあいがでて、多少の仕事の苦労などはリセットできるのではないか。燃え尽きる前に自分の生きがいについて考えてみて欲しい。ちょっとした未来予想図が完成するのではないか。

看護コミュニティ

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