『看護外来』の可能性 ~外来看護師が関わる在宅療養指導の取り組み~

萩原 綾子
  • 2007/04
  • 神奈川県立こども医療センター 小児看護専門看護師
  • 看護師:萩原 綾子

皆さんは、【在宅療養指導料】を知っていますか?

外来における診療報酬で、一定の条件を満たした患者に対して月1回に限り、保健師又は看護師が、プライバシーの配慮された場所で、個別に、30分以上、療養上の指導を行った場合に算定できるものです。1回170点(1700円)と少額ではありますが、外来で看護師が在宅療養指導を実施した場合にのみ算定される、画期的な診療報酬だと思います。私は、大学院の小児看護専門看護師のコースで学んでいるときに、【在宅療養指導料】を知り、「これだ!」と思いました。看護に対するOUTCOMEが重要だといわれていますが、その中で収益として看護が独自で出せるものは多くありません。外来での看護師の役割の重要性を語る上で、在宅療養指導料はOUTCOMEが出せる数少ないものです。

大学院を修了して、もう6年が経とうとしています。私は今、神奈川県の小児専門病院の外来で小児看護専門看護師として働いています。昨年の1月に病院が新しい建物になり、看護体制も変わりました。そして外来では、『看護外来』のシステムを立ち上げました。これは、外来の看護師ひとりひとりが、自主的に在宅療養指導に関わる、というシステムです。

現在は、たくさんの病気や障害をもった子どもたちが地域で家族と生活しています。子どもたちは、気管切開をして吸引が必要であっても、人工呼吸器をつけていても、排泄に障害があって導尿していても、口から食べることができずに注入が必要であっても、自分ひとりで動くことが困難であっても、地域で家族やきょうだいと一緒に生活しながら、友達と一緒に幼稚園や学校で勉強したり、遊んだりしたいのです。在宅療養指導というと、医療的な処置やケアに関する指導をイメージしがちですが、本当に必要なのは、何らかの医療的ケアを生涯にわたって継続しなくてはならない子どもや家族が、成長発達するなかで遭遇する出来事について、共に考え支援することです。

私たちの病院では、耳鼻咽喉科で従来実施していた「気管切開外来」に看護外来のシステムを加えてリニューアルしました。担当の看護師が診察の前後に子どもや家族と話しながら、生活の中で困っていることはないか、これから準備することはないかなどについて、情報を収集し、診察などの中で課題を解決できるように子どもや家族に寄り添っています。ゆっくりと子どもや家族に寄り添っていると、いろいろな相談を受けます。「気管切開をして小学校にはいったら、吸引はどうしたらよいのか」「プールの授業は参加できるのか」「カニューレが学校で抜けてしまったらどうしたら良いのか」「友達に気管切開について質問されたらなんて答えたらよいのか」などなど。。。。皆さんならどのように答えますか?小児専門病院のベテラン看護師であっても、う~~~~ん、と首をひねる質問ばかり。すぐに答えが出なくても、気管切開外来の看護師は医師などの他職種とも協働し、チームで勉強会やカンファレンスを行ないながら、知識と経験をフル稼働して「技~アート~」と呼べるような助言に、たどり着きます。「看護師さんが一緒に考えてくれて本当によかった」という子どもや家族の笑顔を見れば、苦労もスーっと薄らぐ気がします。

在院日数が短縮化し、家庭で継続することができる医療的ケアが増加する中、これから、看護師の在宅療養の看護の可能性はどんどん広がってゆくと考えます。『看護外来』は今日も少し発展しながら、在宅療養指導の可能性を拡大しています。

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