多世代交流を支援して思うこと

2008.11.20
糸井 和佳
  • 2008/11
  • 看護師・保健師:糸井 和佳

私は今、多世代交流型デイプログラムの支援に関わっています。この会は、「聖路加和みの会」といい、2007年4月に発足しました。区民の「誰でも継続して集い、語り、和める場所がほしい」という思いと、大学の「地域の人の顔がみえるヘルスプロモーション活動をしたい」という思いが合わさって生まれたのです。14名の地域高齢者と7名の地域小中学生が毎週金曜日の午後に集まり、皆でお茶を飲み、色々な活動をして一緒の時間を過ごします。会の運営は、老年看護学教員と2名の看護スタッフ、地域ボランティア、学生ボランティアが行っています。

子どもたちは、放課後に来て合流するので、前半は高齢者と私達スタッフの交流が中心となります。高齢者の皆さんはおしゃれをして来られ、1週間の出来事や、お互いのことを話しては聞き入ります。華やいだ空気が流れ、そこかしこで笑顔がこぼれます。このあいだは、プチ回想法と名づけて、高齢者の方から、子どもの頃に好きだった遊び、学生時代のこと、結婚のこと、自分の子どものことなどを教えてもらう機会をもちました。

お見合いをして築地のお家に嫁いでこられた方、3代築地に住まれている方、昔は静岡の和菓子屋さんの娘でいらした方など、それぞれの人生を聞かせていただいているうちに、自分自身がまだ経験していない、先に生まれた方々の道のりを、一瞬でも垣間見た気がして、ゆたかな気持ちになりました。それは、お話を聞かせてくれた高齢者の方々が、今まで以上に大切な大好きな人になる、という経験でした。

3時半を過ぎると、同じ場所に子どもたちが小学校から帰ってきます。高齢者の方々は子どもたちを嬉しそうにみて、笑顔で「お帰り」「元気だった?」と声をかけます。たまに放課後に練習などがあって遅い日があると「今日は遅いね」と心配をします。前回はキルトのクリスマスリースをそれぞれが作り、来たるクリスマス会に自分以外の誰かに届くプレゼントにする計画を立てました。器用に作る子どもをみて、高齢者が褒めます。子どものなかには、作り出すと興味をもって集中する子どもと、途中で飽きてしまってキルトの先生に残りを作ってもらった子どもといましたが、なんとか皆作り終えてあとはクリスマスを待つばかりです。

都市部では高齢者と子ども世代のつながりは希薄化しやすいといわれ、意味ある場所作りを、と意気込んでいましたが、今ではすっかり自分自身も和んでいます。多世代だとおやつ一つとっても好みは異なり、スタッフは試行錯誤をしていますが、人生の大先輩と子どもの中間にいる私達は、異なる世代の心を通わせる潤滑油となることを願っています。

看護コミュニティ

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