「海」-生きるについて考える-

桑原 良子
  • 2015/09
  • 看護師:桑原 良子

京都の龍安寺に枯山水の石庭を眺めに行った時のことです。
枯山水は石を主体として、水を使わずに石や砂で川や「海」を表現しています。
「この石庭は海を表現しているのか。宇宙を表現しているようにも見える」と静かに眺めていると、時が止まった空間に1枚の桜の花びらがスローモーションのように石庭に落ちていきました。桜の花びらだけが動いていました。
花びらが自分のように置き換えられ、自分の悩みはとても小さいように思えました。

原因不明の心臓付近の胸部大動脈瘤破裂のため、弟が緊急手術した時のことです。
死別の可能性が高く、私は突然の状況に感じたことのない不安がありました。
心臓から脳をつなぐ四枝の血管が人工血管に置換された数日後、意識を取り戻しました。
「生きて会えた」と思いました。

弟が私に声にならない声で「目を閉じると、手術する前に見た天井が映像として残って消えない。「海」を想像したくても、海が映像として頭に想い浮かべることができない。」と教えてくれました。また、人工呼吸器から離脱するまでの過程は、「呼吸が苦しい...このまま苦しくて死ぬのではないか」と思考を巡らしていたことを教えてもらいました。

静かな空間に目を閉じて、自分の呼吸に集中すると、自分の身体中に呼吸が行きわたり自分自身の心身に向き合えます。いつもあたり前のように動いている身体、思考や想像はあたり前ではないことを実感しています。
自分の人生を誰とどこでどのように過ごしたいのか、今をどう生きるのか、「End of life care」について考えるのは今だと気づきました。

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