アメリカでナースプラクティショナー(NP)になるまでの道

三浦 未喜
  • 2017/08
  • 看護師:三浦 未喜

アメリカに留学したいと思いだしたのは幼少期でした。父がハーバード大学で建築学を学んだのですが、その時の勉学が面白かったということを聞いてアメリカで勉強したい、という気持ちが早くから芽生えました。

医療の道を進みたいと思ったのは、医師だった祖父の影響でした。いつでも人を助けられるようにと医学に人生を捧げた祖父のようになりたいと思ったのがきっかけでした。

聖路加看護大学に在学中は、平日は課題や実習を終えるのに手一杯で、週末はアルバイトをし、4年間の聖路加での学生時代はあっという間に過ぎて行きました。その頃から、アルバイトで稼いだお金で、休みがあればハワイに行き短期滞在し、語学学校に通ったりサーフィンを学んだりとするようになりました。

聖路加看護大学卒業後、ハワイでナースとして働いてみたいという気持ちは沢山あったのですが、まずは日本の病院で看護師として2年間勤務し、基本的な看護の技術や知識を身につけることにしました。

日本の大学病院の小児科・小児ICUに2年勤務した後、計画していたアメリカへの移住を実行することにしました。もともと医師として医療チームの中でリーダーシップを図りたい、と思っていた私は看護師としての患者さんや家族へのケアを取り入れながらも、診療、検査、治療を決断できるNPという職業に興味を持ち、将来はNPになろうと決めていました。しかし、アメリカでナースとして働いたこともなく、医療英語もあまり知らない私がすぐにNPになっても実践力はアメリカ人には負けてしまう、と思い、直接NPプログラムには入らず、まずは看護学士をやり直し、アメリカ看護の基礎を学ぶことにしました。

ハワイで看護学部を終了後、日系のクリニックで看護師として働きながら、NPプログラムのためハワイの大学院に進学しました。大学院となると、仕事をしながら学校に行く人が多く、私も日系クリニックでの仕事後、そのまま学校に行き、栄養ドリンクを飲みながら夜10時まで授業を受けるという、怒涛の日々でした。アメリカでは、できる人は働くのも遊ぶのも一生懸命やるという人が多く、私も忙しい生活の中、週に3回はサーフィンをするようにし、心身ともに非常に充実した2年間でした。外国人で英語は母国語じゃないからできなくても仕方ないという言い訳は絶対にしたくない、と無我夢中で勉強した結果、なんと卒業式では首席としてスピーチをするということになりました。

Family Nurse Practitionerとしての国家試験を合格し、大学院を卒業後、産婦人科開業医のもとでの仕事を経て、現在は、オアフ島の西にある低所得者を主に対象としたコミュニティヘルスセンターの産婦人科で働いています。患者さんの多くはハワイアンで、日本人はほとんどいません。NPのできる範囲はその州によって違うのですが、ハワイはアメリカでも進んでいるほうで、NPは医師の監督などいらず、独立した医療提供者として、診療、検査のオーダー、処方、簡単な外科治療もできます。今の職場では、産婦人科医と協力し、出産や手術など病院での医療はそれらの医師に任せて、それまでの妊婦健診や婦人科検診、婦人科疾患の治療など、外来での医療に関わっています。医師のNPへの理解やサポートがしっかりしており、とても働きやすい環境で、今の職場にとても満足しています。今後は今の仕事に加え、バイリンガルの技術を生かし、ハワイ在住の日本人の患者さんにも医療を提供したいと考えています。

本年8月からハワイ大学ヒロ校のDoctor of Nursing Practice (DNP) のプログラムに行くことになったのですが、そのきっかけは、いつか、アメリカ、もしくは日本でNPの教育に携われたらという思いからです。残念ながらDNPを取ったところで、給料が上がることもありませんし、2015年以前にNPになったので今のところ特にDNPを取らなくてもいいのですが、これまで先輩看護師・NPに育てていただいた分、私も将来のNPの育成に携われたら、と思い、教授職に就くために必要な博士を取ることにしました。

聖路加看護大学時代一緒にがんばった同期が、病院で主任になったり、または家族を持って素敵なお母さんになったりとしている話を聞くと、私も頑張ろうといつも元気をもらいます。NPはとても意義のある仕事で、社会に取っても患者さんに取ってとても役に立つ職業だと思います。日本でもこれからNPが受け入れられていくことを願います。

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