Q&Aコーナー

1型糖尿病

病気について

1. 1 型糖尿病は、どうしてなるのですか。
自己免疫という体のメカニズムによって、インスリンを分泌するすい臓の細胞が壊されてしまうと、インスリンの分泌がうまく行われなくなります。インスリンは、ブドウ糖を体に吸収するのに必要なものですから、インスリンが少なくなるとブドウ糖は体に吸収されにくくなり、血液の中にたまってしまいます。このような状態を、 1 型糖尿病といいます。また、けっしてうつる病気ではありません。

2. 太りすぎてしまうと、 1 型糖尿病になるのですか。
1でお話したように、 1 型糖尿病は、主に自己免疫というメカニズムによるものです。他にも、栄養などの環境要因やウィルス感染なども関係すると考えられています。
このように、 1 型糖尿病は、けっして太っているのが原因でなるわけではありません。

3. 1 型糖尿病はなおりますか。
残念ながら、完全に治ることはありません。1型糖尿病では、インシュリン注射を一生続けていくことが必要となります。しかし、糖尿病は、上手にコントロールできると日常生活には支障がありません。したがって、本人が、血糖をコントロールするために必要な行動を身につけることが大切になります。

4. 「1型糖尿病」は、その病名から生活習慣と関連があるとされる2型糖尿病と誤解を招きやすいと思うですが、病名変更の見通しはありますか。
高血圧症や2型糖尿病などを総称して「成人病」と言われていたものが、「生活習慣病」と変更したように、1型糖尿病も「インスリン欠乏症」といったような病名変更を求める声があるようです。しかし、現在のところ変更の見通しはありません。したがって、ガイドブックや本などを活用して、病気の正しい理解を進める環境作りが必要であると考えます。

5. 大人になってからも医療費の助成がありますか。
残念ながら、現在は助成がなく、保険診療となっています。小児慢性特定疾患治療研究事業終了後の医療費については、こちらのホームページに具体的なことが載っています。(千葉つぼみの会)また、合併症が出てきた場合には、身体障害者手帳が交付され「福祉サービス」の対象となります。

学校生活について

1. クラスメートには説明した方がよいですか。
病気のことをお友だちが知っていると、低血糖の早期発見に役立ったり、本人が注射や捕食を気兼ねなく行えたりとよいことがあります。したがって、できればお友だちにも伝えて助け合っていくことができるとよいと思います。伝え方については、本人、保護者、学級担任、養護教諭などで相談をして行いましょう。

2. 給食はどのようにすればよいですか。
1型糖尿病は、原則的に摂取エネルギー量の制限は必要ありません。成長・発達に必要なエネルギーの確保のためにも、健康な子どもと同じ程度の適切な食事摂取が基本になります。皆と一緒に同じものを食べたいという子どもの気持ちを尊重し、必要に応じて医師と相談の上、血糖のコントロールのために、インスリン量を調節します。

3. 運動の制限は必要ですか。
運動を制限する必要はまったくありません。ただし、運動によって消費エネルギー消費が大きくなると低血糖の危険が増します。低血糖を予防するための補食については、あらかじめ医療者と相談しておきます。また、そのことを体育や運動部に関わる教師、養護教諭も把握しておくほうがよいでしょう。

4. 保健室に常備しておく補食はどのようなものがよいですか。
キャンディー、ジュース、砂糖、グルコースタブレットなど、摂取しやすく、吸収されやすい物がよいでしょう。

5. 学校で低血糖が起こり捕食をしたら、その後はどうしたらいいですか。
捕食後に症状が回復しても 30 分〜 1 時間後血糖を測るように本人に促し、血糖値や捕食の内容を保護者に連絡し伝えてください。その後の対応は、保護者に確認をしてください。

6. 遠足や宿泊行事には一緒に参加できますか。
制限はありません。子どもが自分で責任をもって管理する良い機会となります。あらかじめ、スケジュールを確認して子どもの状態に合わせた、注射や補食について検討しておきます。宿泊では、血糖測定、インスリン注射などを、本人が安全に行うことができることを確認しておきます。

7. 怪我をしたときに、特に注意することはありますか。
怪我への応急手当はなんら変わることはありません。医師の診察を受ける際は、医師に 1 型糖尿病であることを伝えましょう。

8. クラスメートなどまわりの子どもにも、病気を理解してもらえるよい方法はありますか。
小学校高学年以上の子どもは、担任や養護教諭からのことばでの説明で理解できると思います。ことばでの理解が難しい幼稚園や小学校低学年の子どもには、視覚的に訴えるような説明をされてみてはいかがでしょうか。実際、幼稚園で紙芝居を使って、糖尿病についての話をしたケースもあります。まわりの友だちに話す内容は、本人や家族と相談しながら決めていくとよいでしょう。クラスメイトの理解と協力を得ることが、学校生活を送るうえでも治療をしていくうえでも重要となってきます。また、こちらのホームページには、説明のための適切な本も紹介されていますので、参考になるものがありましたらぜひご活用ください。(糖尿病ネットワーク