看護の定義

2024.02.19

さまざまな看護の定義

看護には、様々な定義があります。ここでは、いくつかの看護の定義についてご紹介していきます。

聖路加国際大学の定義

本学では、看護を「人間と環境との相互作用により、最適な健康状態を生み出すことを目指す働き」と考えている。人間と環境の相互作用によって、さまざまな健康状態が生じてくる。人間と環境と相互作用しながらよりよいその人らしい生活を送るために、その人にとっての健康状態を最適化するのが、看護であると考える。
「聖路加国際大学看護学部2023年学生便覧」

フローレンス・ナイチンゲール (英 1820~1910)

看護はすべての患者に対して生命力の消耗を最小限度にするよう働きかけることを意味する」と彼女は「看護覚え書」の冒頭に述べている。すなわち、看護とは患者に新鮮な空気、太陽の光を与え、暖かさと清潔を保ち、環境の静けさを保持するとともに、適切な食事を選んで与えることによって健康を管理することであるとしている。とりもなおさず、健全な生活環境を整え、日常生活が支障なく送れるよう配慮することが看護なのである。
『看護覚え書』うぶすな書院

Henderson,V. (米 1897~1996)

看護婦の独自の機能は、健康・不健康を問わず、各個人を手だすけすることにある。どんな点で援助するかというと、健康、健康の回復(あるいはまた平和な死への道)に役立つ諸活動。これらは、もしもその本人が必要なだけの強さと意志と知識とをかねそなえていれば、人の手を借りなくともやりとげられることかもしれないが、とにかくそうした諸活動の遂行にあたり各個人を援助する、 それが看護婦の仕事である。そして患者、あるいは健康な人の場合でも、その本人をたすけて、できるだけ早く、自分で自分のしまつを出来るようにするといっ た方法で、この活動を行うことである。
『看護の基本となるもの』日本看護協会出版会

The American Nurses Association (ANA)

Nursing integrates the art and science of caring and focuses on the protection, promotion, and optimization of health and human functioning; prevention of illness and injury; facilitation of healing; and alleviation of suffering through compassionate presence. Nursing is the diagnosis and treatment of human responses and advocacy in the care of individuals, families, groups, communities, and populations in recognition of the connection of all humanity.

ANA, Nursing: Scope and Standards of Practice, 4th Edition (2021)

https://www.nursingworld.org/~49582d/globalassets/catalog/sample-chapters/excerpt-of-nss4e-chapter-1.pdf

その他の看護の定義

国際看護師協会(ICN)

看護とは、あらゆる場であらゆる年代の個人および家族、集団、コミュニティを対象に、対象がどのような健康状態であっても、独自にまたは他と協働して行われるケアの総体である。看護には、健康増進および疾病予防、病気や障害を有する人々あるいは死に臨む人々のケアが含まれる。また、アドボカシーや環境安全の促進、研究、教育、健康政策策定への参画、患者・保健医療システムのマネージメントへの参与も、看護が果たすべき重要な役割である。

簡約版, 日本看護協会訳, 2002年

https://www.nurse.or.jp/nursing/international/icn/document/definition/index.html

保健師助産師看護師法 [第一章 総則]

第一条 この法律は、保健師、助産師及び看護師の資質を向上し、もつて医療及び公衆衛生の普及向上を図ることを目的とする。
第二条 この法律において「保健師」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、保健師の名称を用いて、保健指導に従事することを業とする者をいう。
第三条 この法律において「助産師」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、助産又は妊婦、じよく婦若しくは新生児の保健指導を行うことを業とする女子をいう。
第四条 削除
第五条 この法律において「看護師」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、傷病者若しくはじよく婦に対する療養上の世話又は診療の補助を行うことを業とする者をいう。
第六条 この法律において「准看護師」とは、都道府県知事の免許を受けて、医師、歯科医師又は看護師の指示を受けて、前条に規定することを行うことを業とする者をいう。

看護ケアと看護技術

看護とは、何をすることなのでしょう?
看護職は、主に、看護技術を用いて、患者さんなどの看護の対象となる人々の看護ケアを行っています。

看護ケアは、以下の三つの要素から構成されているといわれています。

3S・・・精神(spirit)、知識(science)、技術(skill)

3H・・・こころ(heart)、頭(head)、手(hand) これら、3つの要素が総合され支え合って看護ケアとなるのです。
これは、イザベル・スチュワート女史が示したパラダイム(模範)といわれています1)。パトリシア・ドビュナーによるイザベル・М・スチュワートの教育哲学についての分析的な論文2)で記載されています。
では、ケア(CARE)とはなんでしょう。 一般的にケアとは、 「世話 養育 配慮 関心 気遣い 心配り 注意 管理 見守 気を配る 思いやる かまう 世話する 看護する 面倒をみる 手をかける」という言葉で言い換えられます。

1)高橋シュン(2013):看護行為を支えるものオンデマンド版、日本看護協会出版会、p14
2)パトリシア・ドビュナー(千野静香訳):イザベル・名ランド・スチュアートの教育哲学、看護教育、25(10)

技術とは、方法であり、道具であり、活動内容であり、実施であり、実践です。

看護技術は、看護の専門知識に基づいて、受け手の安全・安楽・自立を目指した目的意識的な直接行為であり、実施者の人間観(看護観)と技術のレベルが反映 されたものと言われています。看護ケアのうけてである患者さんが、安全で気持ちよく自分の力を発揮して生活できるように手助けするための手段が看護技術で あり、人と人との関係性のなかで実践される看護ケアには、実践する人の気持ち(看護観)が反映されます。 看護(nursing)を広い概念でとらえると、子どもをはぐくみ、弱い者・傷つき病める者の世話をするという行為だともいえます。これらは、特別に教 育・訓練を受けなくても、経験によってある程度行うことができます。それを専門の立場から職業として行う場合には、科学的で正確な知識と技術に裏付けさ れ、より安全でより安楽な方法で実施されます。これが、看護技術です。

看護技術の例

フィジカルアセスメント技術

視診・触診・打診・聴診により対象のからだや健康状態を明らかにする技術のこと。

例えば......
熱を測る(体温測定) 測定部位:腋窩、顎下(皮膚温)、口腔、直腸(肛門)(体腔温)、外耳道(鼓膜温) 体温計:水銀体温計(直腸・口腔・腋窩用) 電子体温計(センサーを利用して予測式)

日常生活援助技術

対象の生活環境を整え、健康不健康に関わらず、当然あるべき日常生活を行えるように援助することです。
病床と環境(部屋)、病床とベッドメイキング、移動、体位交換、身体の清潔(清拭、入浴) 寝衣交換、排泄(ベッドでの排泄、導尿、浣腸)、食事介助、口腔のケアといった援助を指しています。

診療に関わる援助技術

注射、気管内吸引、酸素療法、包帯法、与薬などのことです。

看護の知識

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