様々な分野の学士号を持つ学生が看護教育機関を選択するにあたって

聖路加国際大学 看護管理学・看護教育学分野 奥 裕美

様々な分野の学士号を持つ学生が看護教育機関を選択するにあたって
2019.03.01

研究のきっかけ

少子高齢化が進み、医療職の確保は国家的な課題となっています。看護職においても将来の需要が供給を上回ることが予測されており、看護職となる人材を確保するための施策を積極的に検討する必要があります。そのような中、いったんは他の学問を学び、看護以外の職業に就いた後に看護職となることを希望して、看護基礎教育機関に入学してくる者の数が増加傾向にあります。そこで今回は、他分野の学士号を取得した後、看護基礎教育過程で学ぶ学生の実態と、彼らが看護教育機関を選択する際に影響する要素を明らかにすることを目的に、研究を行いました。

研究の内容

まず、学士号を持つ看護学生が、それ以外の看護学生と比較し、看護基礎教育機関を選ぶ際に特に影響している要素は、「自宅から通えること」と自分にあった「入試方法」があることでした。さらに、看護師養成所、准看護師養成所に通う者と、社会人経験や学士号を持つ者の方が、そうでない者と比較して「自宅から通えること」に影響を受けて、教育機関を選択していました。
また、学士号を持たない学生で最も影響している要素は、「学費が安いこと」、次いで「資格試験の合格率」でしたが、「学費が安いこと」は、学士号の有無に関わらず、どの学生においても影響要素として大きいことがわかりました。

今後に向けて

社会の需要とともに今後ますます他分野での学士号を持つ看護学生が増えることが予測され、彼らの知識基盤を十分に生かせる教育が必要となってきます。
学士入学および社会人入試制度は、一般入試と比較して課せられる学科試験が少なく、教科目の学習から離れていた期間のある学士号を持つ学生にとっては利用しやすい制度であり、このようなことが学士号のある学生が教育機関を選択する際の重要な要素となっていることが示唆されました。入試方法をはじめとした教育制度の工夫が必要であるとともに、就学を支える社会的支援が得られることが望ましいと考えます。

詳細はこちらをご覧ください

他分野の学士号を持つ看護学生が看護基礎教育機関を選択する際の影響要素 奥裕美, 日本看護科学学会誌,34巻,pp.292-300,2014

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