2-1.慢性呼吸不全とはどんな病気?

呼吸不全とは、動脈血の酸素分圧が低下し異常な値を示し、そのため生体が正常な機能を営むことができない状態をいう。肺不全とは、外呼吸担当臓器である肺・胸郭系またはその調節中枢(呼吸中枢)の異常のため、静脈血の動脈化という、一義的な機能が代謝不能になっている病態である。

肺不全は肺を中心とした外呼吸の障害、呼吸不全は外呼吸と内呼吸を含めた全身的な呼吸機能の不全を意味するが、通常呼吸不全という用語が使われる頻度が高い。

血液ガス異常の基準については、種々の見解があるが、わが国では、現在、一般的には厚生省特定疾患呼吸不全調査研究班の診断基準が用いられている。ここでは診断上最も重視されているのは動脈血O2分圧で、PaO2が60torr以下になることが基準となっている。ただし、PaO2が60torrを越え70torr以下である場合には、準呼吸不全として取り扱われる。

PaO2は、それが45torrを越えるものと、それ以下のものとに分けられ、PaO2 45以上と35torr以下が異常値とされる。また、「慢性」とは、呼吸不全の状態が1ヶ月以上継続するものである。