看護ネット

聖路加看護大学COEプログラム
市民主導の健康生成をめざす看護形成拠点:People-centered careの創生

ビジョンと目的

市民主導の健康生成をめざす看護(市民が主人公のケア:People-centered care)のゴールは、現代社会における複雑な社会背景のなかで、ややもすると孤立し、取り残されがちな人々と手をむすび、人々が本当に必要としている健康ニーズを分かり合い、これらの切実なニーズを満たし、新たな力につなげていくことで、コミュニティ全体の健康レベルを高めていくことです。そのために、コミュニティにおいて優先すべき健康ニーズに着目し、市民やヘルスケアにかかわる多様な専門職者、保健医療機関、行政、多様な機関が、健康課題の解決やより健やかなコミュニティづくりにむけて、パートナーシップやわかちあい、調和などにより継続的に協力体制や組織化をすすめる新しいケアアプローチ開発に取り組んできました。

最終達成目標

(1) People-centered careの概念化
(2) People-centered careという新しい看護ケア、ケアシステムの創出
(3) People-centered careを担い国際的に活躍できる若手研究者育成
(4) People-centered careの国際的発展

活動領域と形態

優先すべき健康ニーズをもつ4つの領域のコミュニティとパートナーシップを組み
活動を行いました。

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活動の組織化

People-centered careの活動推進には、個々人のみならずコミュニティに存在する組織が、生活の営みや経験から得ている潜在的な知恵や能力を備えているという前提や価値をおき、それらを活かすような活動を展開できる組織化が必要です。聖路加看護大学COEは、このような価値とコミットメントをもち、組織的にPeople-centered careを促進する研究教育拠点を形成しました。


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(図2)※クリックで拡大



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活動の成果

1.People-centered careの概念モデル構築(前頁の図)

People-centered careは、「身を投じる(活動の糸口をつかんで動き始める)」、「プロジェクトチームを組織する」、「活動し、拡大する」というプロセスを経て段階に発展していました。また、活動のプロセスは、個人間(市民ー医療者、市民ー市民、医療者−医療者)、集団、組織、コミュニティ全体へと広がり、それとともに活動形態が拡大する“発展と拡大(発展性)”の方向性と時間経過とともに活動が“継続と安定(恒久性)”へと向かう方向性を軸としながら変化していった。


2.People-centered careという新しい看護ケア、ケアシステムの創出

概念化モデルをもとに、従来型のケアと比較しPeople-centered careはどのような相違や特徴があるのかを下記に示しました。

  1. ケアの受け手ーケア提供者という対峙的な関係性から、ともに手を結び、互いに分かち合う相互補完的な関係性の構築と発展
  2. 健康ニーズの達成に必要な資源(人、物、金、文化)を生み出し活用するシステムづくり
  3. コミュニティにおいてケアの継続性・拡大・変換するため組織的アプローチ
  4. 新たなケアの質を保証するための研究的アプローチ(community-based participatory research)の適用と研究成果集積

3.若手研究者の人材育成総合計画:
People-centered careを担う「国際的人材教育共同体」の形成 @ 組織化

これら当初よりの人材育成を強化するために、People-centered careを担う国際的人材を継続的に輩出する教育共同体(consortium)を組織化した。この組織は(図2参照)、People-centered careの理念のもとに、〔研究・教育支援〕〔看護実践開発支援〕〔国際交流推進支援〕に構造化し、研究科委員会、看護実践研究開発センター、WHOセンターとの有機的な連携のもとに、若手研究者研究・教育プログラムとして運営しました。具体的には、(1) 海外姉妹校との相互交流システムによるノマディック教育(国際性の醸成と先進的研究法の獲得)推進、(2) COE若手研究者助成金制度による自発的研究活動支援、(3) 看護実践研究開発センターにおける研究・教育支援(情報検索コンサルテーション、EBNに基づく研究法のコンサルテーション等)、(4) 各プロジェクトへの協働参画による研究交流(有能な若手研究者の独創性涵養)を行いました。


4.People-centered care国際的発展

  1. People-centered-careに関する国際的発信:国際学術集会ならびに海外学術誌への発表、関連学会の国際学術集会の開催
  2. 国際的競争力:海外学術団体よりの受賞、国際学術団体よりの講演依頼、国際的研究資金の獲得
  3. 国際ネットワークの拡大:WHOセンターネットワークによるPeople-centered careの情報発信と協働事業
  4. 国際研究ネットワークの設立と拡大:東アジアがん看護ネットワーク立ち上げ、国際協働研究推進
  5. 教育課程における国際化:国際看護学の開講、海外招聘教授、臨床教授の増員

▼ Wordデータダウンロード(内容は上記と同様)



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