▲入院中の父が突然、幻覚・記憶喪失に。せん妄を患った父親の介護体験記
認知症とは、脳や身体の疾患を原因として、記憶・判断力などの障害が起こることです。老化にともなう「もの忘れ」よりも急速に脳細胞が消失して、記憶の一部ではなく全てがなくなったりします。また、人格崩壊、妄想・幻覚といった症状を引き起こすこともあり、日常生活に支障をきたすことが多いのが認知症です。
(2004年12月より「痴呆」が「認知症」の新呼称で呼ばれています)。
認知症をもつ人の数はどの位?
認知症は身近な問題になってきています。65歳以上では、約10人に一人が認知症になっています。また、85歳以上では、発症率が非常に高くなっています。
図1 認知症高齢者の推移
         65歳以上高齢者の性別・年齢階級別認知症有病率:1985 年推計(大塚らによる)
 
図2 認知症高齢者の年齢層別出現割合
         わが国の認知症高齢者数の将来推計
認知症の種類:アルツハイマー病と脳血管性認知症
認知症の多くはアルツハイマー病(43.1%)と脳血管性認知症(30.1%)です。
両者は以下のように違います。
  アルツハイマー病 脳血管性認知症
原 因 脳の神経細胞が急激に減少し、脳が病的に萎縮する。老人斑、神経原線維変化がある。 脳の血管に血液が詰まったり、血管が破れたりすることによって認知症になる。 
症 状 「もの忘れ」。初期は古い記憶は比較的保たれている。「判断力の低下」もみられる。さらに時間、場所、人物の判断がつかなくなる。新しい出来事が覚えにくく、忘れやすくなる。進行すると、もの忘れのために生活に支障をきたるようになる。初期の段階では運動麻痺や感覚障害などの神経症状はない。 もの忘れ、手足のしびれ、頭痛、めまい、耳鳴り等があることがある。脳卒中の発作が起こるたびに段階的に認知症がひどくなることが多い。
障害された場所によって、能力が低下することと、しないことがあり、認知はまだら状に低下する。記憶障害がひどくても人格や判断力は保たれていることが多い。日によって症状にも差がある。麻痺、頭痛、めまい、などの神経症状を伴う。
経 過 ゆっくりと発病し、徐々に悪化していく。 障害された部位や程度によりさまざま。
治 療 初期には薬物療法の適応がある。
(塩酸ドネベジル など)
脳血管疾患に対する治療を行う。