Q&Aコーナー

2型糖尿病

病気について

1. 2 型糖尿病は、どうしてなるのですか。
食べ過ぎて余分なエネルギーをとると、血液の中のブドウ糖が増えます。増えたブドウ糖を体に吸収するために、インスリンが大量に必要になります。最初はインスリンの分泌量を増やして対応するのですが、そのうちに耐え切れなくなりインスリンの働きが低下してしまいます。このように、インスリンの作用が不足するために、血液中のブドウ糖の量が通常より多くなっている状態を糖尿病といいます。また、けっしてうつる病気ではありません。

2. 太りすぎると糖尿病になるのですか。
太っているからといって、必ず糖尿病になるわけではありません。しかし、1でお話したように、食べ過ぎて余分なエネルギーをとったことで、結果的に太ることは十分に考えられるので、 2 型糖尿病と肥満は関係があります。

3. 2 型糖尿病はなおりますか。
残念ながら、完全に治ることはありません。しかし、糖尿病は、上手にコントロールできると日常生活には支障がありません。したがって、本人がコントロールを身につけることが大切になります。

4. 2型糖尿病は大人に多いと聞きますが、小学生にも多いのですか。
1995年東京都のデータによれば、1年間に2型糖尿病だと診断される小学生は10万人あたり2.0人、中学生では13.9人でした。

学校生活について

1. クラスメートには説明した方がよいですか。
太っているという否定的な価値観で周囲から見られると、本人は苦痛やストレスを感じます。病気のことをお友だちが知っていると、友だちの心無い一言を防げたり、友だちが心の支えになったりとよいことがあります。したがって、できればお友だちにも伝えて助け合っていくことができるとよいと思います。伝え方については、本人、保護者、学級担任、養護教諭などで相談をして行いましょう。

2. 給食はどのようにすればよいですか。
2型糖尿病の場合には、肥満度に応じた摂取エネルギー量の制限が必要になります。しかし、成長に影響を及ぼすので過度な制限をせず、給食では過食・早食いなどの食習慣を直し、理想的な食習慣を身につける場にするとよいでしょう。

3. 運動の制限は必要ですか。
肥満をともなう 2 型糖尿病では、体重を減らすことが重要な治療ですので、減量するための運動療法が重要になります。運動によって起こる低血糖を防ぎ、体育や運動部の部活動への参加を推奨しましょう。低血糖を予防するために、補食についてはあらかじめ医療者と相談しておきます。また、そのことを体育や運動部に関わる教師、養護教諭も把握しておくほうがよいでしょう。

4. 保健室に常備しておく補食はどのようなものがよいですか。
キャンディー、ジュース、砂糖、グルコースタブレットなど、摂取しやすく、吸収されやすい物がよいでしょう。

5. 遠足や宿泊行事には一緒に参加できますか。
制限はありません。子どもが自分で責任をもって管理する良い機会となります。薬を使っている場合には、遠足・宿泊行事中にも正しく続けられるように、具体的な方法について、本人、保護者、養護教諭、学級担任で話し合っておきましょう。

6. 怪我をしたときに、特に注意することはありますか。
怪我への応急手当はなんら変わることはありません。医師の診察を受ける際は、医師に 2 型糖尿病であることを伝えましょう。

7. 尿検査以外で、学校で2型糖尿病を発見できる方法はありますか。
本人に肥満があり糖尿病の家族歴がある場合は、小児生活習慣病検診や医療機関への受診を勧めることで早期発見が可能です。また、肥満のある子どもが毎日1リットル以上の清涼飲料水を飲むような生活習慣があり、多飲多尿、急激な体重減少を示した場合には要注意です。

8. 肥満と2型糖尿病とは関係があると聞きます。学校では肥満児童にどういう対応をしたらいいですか。
大人では、肥満で食後の血糖値が一定以上に高くなる人に対して、生活習慣の積極的変更による糖尿病の予防について研究されています。しかし、現在のところ、子どもの場合の大規模な研究はありません。実際に、2型糖尿病の子どもすべてが肥満なのではなく、決して、肥満=2型糖尿病というわけではありません。しかし、目安として肥満度20%を超える子どもへの対応を、学校医と相談しておくとよいでしょう。対応としては、生活習慣の見直しや小児生活習慣病検診・専門医への受診を勧めるなどが考えられます。