保健室での成長

後藤 ちひろ
  • 2011/04
  • 看護師・養護教諭:後藤 ちひろ

小学生の頃、度々保健室にお邪魔していました。自分の体調が悪かったり怪我をしたときだけでなく、友人が行く時には「付き添い」と称して一緒に。私にとって、保健室は学校の中で好きな場所の1つでした。ある日、体調が悪くて嘔吐してしまいました。気持ち悪い・恥ずかしい・他の人たちに申し訳ない・どうしたらいいんだろう・・・そんな思いが渦巻いて辛かった時、保健室の先生は嫌な顔一つしないで綺麗にして、優しく声をかけてくださいました。それが私にとって印象的で、「将来仕事をするなら先生みたいになりたい!」と思ったのでした。

私は看護師として3年間病棟で働いた後、今は養護教諭として保健室で働いています。保健室に勤務してみると、実際に来室する子達は実に様々です。怪我、体調不良、相談、なんとなく顔を出してみる、休んでいる子のお見舞い等々。こんなに来室する子が多いのかと、はじめは驚いたものです。中には、ちょっとした怪我や体調不良を訴えて頻回に来る子もいます。その子達も、何度も顔を合わせているとだんだん変わっていきます。傷をちゃんと洗ってくるようになる、訴え方が「足痛いー」から「足を捻ったので冷やすものをください」となる、そんなちょっとした変化。小さな怪我が多かった子の怪我が減って"行動が落ち着いてきたのかな"、頭痛や腹痛を訴えてよく保健室に来ていた子が来なくなって"気持ちの面で安定してきたのかな"、って感じるとき。そんなちょっとした変化に嬉しくなります。

また、来室した子達と話をしていると、自分の身体についてあまり知らないのだなと感じることがあります。塾や習い事で忙しくて体調のことはほったらかし、という印象の子もいます。それでも話をしていると、自分の身体のことを知りたいという思いや、私の話したことに納得すればストンっと入っていくような吸収力を子ども達に感じます。時には思いがけない質問に、言葉に詰まってしまうこともあります。その度に、子ども達の心身の健康を守ることの奥深さを感じ、自分の勉強不足を痛感します。子ども達に様々な気づきをもらいながら、一緒に成長させてもらっているなと思う日々を過ごしています。

来室する子どもの中には、心にある問題を体調不良として訴えている子もいます。頭痛や気分不快を理由に来室して、よく話を聞いてみるとその裏には何かしら悩みや気がかりが隠れていることが度々あります。本人もはっきりとは気づいていないけれど、実は気持ちの底でずっと表出されないまま抱えていた思いがあったんだなと感じる場合もあります。人間の心と身体は繋がっています。どちらかが辛くなればもう一方もしんどくなったりします。同じように、身体を手当することで気持ちが、心をケアすることで体調がよくなったりします。保健室への来室を機会に自分の身体を"知る"ことが、身体も心も含めて自分を大切にする力に、その資源に少しでもなればと思っています。

学校のこと、友人のこと、家族のこと、勉強のこと、将来のこと。子ども達は大なり小なり様々な悩みを抱えています。それが体験や知識を糧に、少しずつ、あるいはある日ひょいっと変化し、成長していく。そんな子ども達の成長をそばで見られることが、この仕事の魅力なのだろうなと思っています。

看護コミュニティ

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