ハロウィン~小児科病棟での魔法の時間~

前田 邦枝
  • 2013/11
  • 聖路加看護大学
  • 看護師:前田 邦枝

9月も半ばになると、にわかに周辺がハロウィンに色づき始める。
私は10年以上病院の小児科病棟で勤務してきたが、入院中の子どもたちや家族にとって、また勤務するスタッフにとっても、ハロウィンは1年の中でとても大きなイベントであり正に「魔法の時間」だった。
普段パジャマやTシャツ、ジャージなどで過ごす子どもたちだったが、ここぞとばかりに変身・おめかしをして、病棟で仮装パーティーと発表会を行うのだ。もちろんスタッフもここぞとばかりに(ちょっとした宴会芸くらいには)仮装を披露し、「勤務中のスタッフも当日は仮装して働いてよい」という小児科部長H先生のお言葉を胸に、(たとえ食堂でおかしな目で見られようとも)白衣の上から尻尾や耳をつけ、フェイスペイントをしたりして雰囲気を盛り上げる。そして当日は、普段会えない兄弟姉妹・祖父母らも参加し、発表会後に栄養科特製スペシャルディナーを堪能して楽しい団欒の時間をすごすのである。
高校生の子ども達は、仲の良い同室者同士で衣装を合わせアイドルになっていた。普段は「別にー」なんて返答が多く、「ちょっとイベントなんて面倒」なんて言っていたくせに、当日はノリノリでプロ級のお化粧の腕を披露してくれた(なるほど、彼氏にはこういう顔を見せてるのね。まつげスゴイ。アイラインの書き方教えて欲しい)。
骨髄抑制の回復が遅く、なかなか外泊できない幼児は、兄弟でモチーフを決めて海賊に大変身!倦怠感が強くベッドで横になることが多かったのに、お兄ちゃんとダンボールの剣でチャンバラを始めてしまった(やっぱり男の子だなー。すごく楽しそう!)。
パパ・ママも一緒になって一家で仮装した家族もあり、久しぶりのわが子の晴れ姿にデレデレになって突如公開写真撮影会を開始するファミリーも居る(子どもは号泣しているが、パパとママはニコニコである)。
中には準備のために一月以上も前から、ハロウィンに向けて針仕事を始めるお母さんたちもいるのだ。医療者側もその熱意に応えるべく正に水面下の努力を行っている。
ナースはこの日の為に過酷な仕事の後に居残り練習をして芸を磨き、日本一忙しい(に違いない)レジデント1年生の医師も、睡眠時間を削って深夜レジハウスに集合し真面目に自主練していた。かく言う私も、「今年は特にいいかナー(もういい年だしね。若い子に任せましょう)」と思っていたのに、子どもたちからキラキラした目で「ハロウィン何するのー?」と聞かれることに耐えられず、密に某舞浜のショップで耳つきカチューシャを物色したりしている。
冷静に振り返ると何かの陰謀としか思えないのだが、なぜだかやってしまうハロウィン。小児看護の醍醐味というのは、このような所にあるのかもしれない。そう思うと、4月から大学に職場を移し、もうこの「魔法の時間」に立ち会えないことを本当にさびしく感じてしまう今日この頃なのである。Happy Hallowen!!

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