健康管理室から

2014.02.20
金子 訓代
  • 2014/02
  • 保健師:金子 訓代

私はベルリンの壁が崩壊された数か月後に聖路加を卒業し、昨年4月に母校の健康管理室に着任しました。したがって二十数年ぶりに母校へ戻ってきたことになります。一口に「母校へ戻る」といっても、華々しい職歴があるわけではありません。大学卒業と同時に、看護師・保健師の国家資格を取得して企業(銀行)の保健師となりましたが、男女雇用機会均等法が施行されていたものの、まだ女性は結婚や出産を機に寿退職という風潮があり、また子育て支援制度も充実しておりませんでした。企業保健師として数年勤務したのち、仕事と育児の両立が難しいという状況に直面し仕事を諦めざるを得ませんでした。

子育てが楽になってきた頃、国家資格を生かして微力ながら何か社会に貢献したい・・・と仕事を探し始めました。その時に頼りになったのが、聖路加の卒業生たちです。都内で小児科を開業している同級生のクリニックで、看護師・保健師として勤務させていただいたことを皮切りに、私立の小学校や大学の健康診断での保健師業務もさせていただいておりました。そして私の人生を大きく変えることになる一人の先輩に出会いました。「子どもたちのために」の熱い思いで教育現場に向かい、健診も独自の方法を考案し素晴らしいものを築きあげておられました。子どもたちのためなら、批判を恐れず正しいことを言う勇気と、間違っていることを間違っていると言える力強さの根底には子どもたちへの慈愛に満ちた深い愛情があるからこそでした。その一貫した教育信念は不動であり、これがまさに聖路加看護大学の教育の成果であり、トイスラー博士の"DO YOUR BEST, AND IT MUST BE FIRST CLASS"(最善を尽くせ、そして一流であれ)そのものでした。その先輩から仕事に対する情熱を学ばせていただき、退職された今でもパワフルに第二の人生を謳歌されておられるお姿を拝見するたびに、元気をいただいております。その後母校の健康管理室で保健師を募集していることを知り、縁あって現在に至りました。お陰様で学内の教職員の方々や病院の方々にお世話になりながら、今この仕事をさせていただいているのも聖路加の先輩、同級生、後輩がすべて導いてくださった賜物です。歴史と伝統ある聖路加を卒業して本当によかったと感謝しております。

健康管理室に勤務していますと、「あらら?」と思うような発言をする学生さんが時々訪ねてきます。「先生、除光液ありませんか。これから○○なんです。えーっ、ないんですか?うっそー!」「健康診断ですが、アルバイトが入っているので行けません。私の予定と合いません。」「○○の予約をしたいのですが、私の時間割を見て、空いているところに入れておいてください。」といった具合です。「ここは何でも屋ではないし、ドラえもんのポケットみたいに何でも出てくるわけではないのに(笑)・・・」と思いますが駆け込み寺的に飛び込んでしまうのでしょう。わが家の息子たちと同世代の学生たちとのコミュニケーションを楽しみながら、健康管理室として真の意味で学生のためになることを模索しています。
数か月前に、「集まれる人だけでも集まろう!」という話から同級生たちとプチ同窓会を企画しました。急なことだったのですが、学年の3分の1近くの人数が久々に集まり仕事の話、プライベートの話に花が咲きました。卒業後二十数年と時を経ていても、学生時代と大きく変わることなく個性豊かにそれぞれの道を歩んでいました。学生時代苦楽を共にした同級生とのご縁を大切にし、また、伝統校の良さでもある縦のつながりに感謝しつつ、これから次々に巣立っていく学生たちにも伝統校の良さを伝えていけたらと思っています。

看護コミュニティ

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