編者:ピーダ・オーレスン&ビアギト・マスン
訳者:石黒暢
写真:ヘンレク・ビェアアグラウ
出版社名:新評論
発行年日:2008年3月
価格:\1,890
ISBN:978-4-7948-0761-8
本書は、編者の一人、ピーダ・オーレスンが、自らと同じように親を亡くして乗り越え生きてきた人々の人生経験や思いを語ってもらうことが、同じ状況に置かれた人々に力を与えるのではないかとの想いから、さまざまな悲しみや喪失を体験した人の手記を集め、「悲しみと喪失のシリーズ」として発表した中の一冊で、デンマークの25人の高齢者たちが自分の孤独について素直に語っています。
56歳から86歳の孤独な人々が語る、愛する人との別れ、病気、家庭内の不和などの自らの孤独なストーリーの背後には、それぞれの人生が垣間見られ、高齢者の感じ方や受け止め方がそのまま表現されています。
福祉の進んだデンマークの高齢者は、「家族とはいい関係でつき合い、介護などの大変な部分は他人でいい。」と割り切った考えを持っているようですが、本心には人との触れ合いや助け合いを求めているようにも感じます。
個人が考える「孤独とどのように向き合って行くか」を理解することで、介護をする側の負担も少なくなるのではないでしょうか。
なぜならば、人間関係を良くする第一の方法は、「相手の話をよく聞く」ことだと言われています。これは、介護を必要とするしないに関係なく、人づきあい全般で言えることだと思うのです。まずは、この一冊から高齢者と孤独について耳を傾けてみてはいかがでしょうか。
<耳を傾けること> リスベト・ノアダム作
私の話を聞いてほしいとお願いすると
あなたは私に助言しようとする
それは私が求めていることではない
私の話を聞いてほしいとお願いすると
あなたは尋ねる
そんな気持ちになったっていいではないかと
それは、私の気持ちを踏みつけること
私の話を聞いてほしいとお願いすると
悩みを解決するために
あなたは何かしなければ、と考える
あなたは私を誤解している
変に聞こえるかもしれないが
祈りが素晴らしいのはきっと
神が寡黙で助言しないから
何かを解決しようとしないから
神は耳を傾け信じる
あなた自身が解決する、と
だから、私の話を聞いて---私が言うことを聞いて
私に話したいと思うなら
少しだけ待って
あなたの番になるまで
約束するわ
後でしっかりあなたの話を聞くと
看護ネット事務局