著者:飯島 夏樹
出版社名:新潮社
発行年日:2005年03月
価格:\1,260
ISBN:978-4104694020
世界的ウィンドサーファーであった飯島夏樹さんは、2005年2月28日23時50分、奥様に見守られながら天に召されました。享年38歳。末期の肝細胞ガンの宣告を受けた後ハワイに移住し、妻と幼い子供4人と心の交流を深めていました。
本書は、「ガンになってよかった」と思い過ごす日々を、自分自身の言葉でネットに連載していたものを単行本化したものです。決してきれい事ではなく、笑顔の裏にある苦労を素直な気持ちは、癌を宣告された方や家族だけでなく、「生きる」ことに悩んでいる多くの人々に希望をと力を与えてくれます。
幼い頃から読書が大好きで作家にも憧れていた著者は、余命宣告を受けた後に「自分は生かされている」と体感し、最後まで執筆活動を生き甲斐に続けていました。処女作でベストセラーとなった小説『天国で君に逢えたら』(新潮社)は2007年に映画化もされ、テレビで彼のドキュメンタリーが放送されると、多くの反響が寄せられました。
余命宣告を受け、うつ病とパニック障害を併発。こうした困難を乗り越えたのは、家族との繋がりと「最終的に辿り着くべきなのは受け入れること」という事に気付いたから、という強靭な精神はどのようにしたら持てるのでしょうか。若い頃から人一倍努力をして、日本人で唯一人、8年間にも渡ってワールドカップに出場し続けたというのはもちろんですが、あとがきにある「この本を手に取ってくれた人に心からアリガトウと言いたい」、この感謝の気持ちこそが著者を支えていたのです。
患者さんによる闘病記は少なくありませんが、本書は、年齢・性別や環境、健康状態などを問わずに「家族」「生と死」についての考えさせてくれます。読み終わった後、彼の人生は幸福だったと信じられるはずです。同じような幸福を感じて欲しいと願い残した著者のメッセージです。
看護ネット事務局