著者:岡田 慎一郎
出版社名:医学書院
発行年日:2009年09月
価格:\3,990
ISBN:978-4-260-00889-1
著者の岡田 慎一郎さんは、身体障害者、高齢者施設の介護職員、介護講師を務めるなかで独自の身体介護法を模索していました。武術研究家の甲野善紀氏と出会い師事した後に、2005年頃から古武術の身体操法を参考にした独自で考案した「古武術介護」を提案したところ大きな反響を呼び、現在では全国各地で講演・講習会を開催しています。
大きな反響を得た『古武術介護入門』(2006)から3年を経た後、実際の介護現場でも困難事例などをより分かりやすく解説しています。
「古武術介護」の基本は、相手の身体を動かす際に自分の身体の重心移動を使い、無理に腕の力を使わないことです。本書の最初には、そのための五つの基本の型が解説されています。実際に自分の身体のちょっとした使い方によって、相手の身体と一心同体になった感覚で互いに"フワッ"と浮くように動けるので、看護ケアの場面で力任せになりがちな方にとっては、目から鱗が落ちるでしょう。
たとえば横たわっている人の上体を起こす身体動作が紹介されています。手の甲を上にして(掌を下にして)被介護者の下に腕を入れた状態で、自分の身体を被介護者の足の方へ倒れかかるようにすると、おのずと被介護者の上体が起き上がります。この腕のつくりは、実は相撲の基本的な動作の一つなのです。このように本書の中の型は身体の動きの本質なので、人間身体の本質を発見することもできます。介護を受ける方の身体条件によって個別に工夫が必要なのが介護現場ですが、基本の動きをマスターすれば応用の幅が広がります。実際に脳性マヒやALSの方への実践応用例も収録されています。
A4横という大特判形、見開きに多数のカラー写真で誰もがイメージしやすい文章で説明されている上に、DVDで動きを確認できます。数多くの講習を行ったノウハウや受講者にとって難しい部分を理解している著者ならではの工夫が随所に組み込まれています。
著者の岡田 慎一郎さんのウェブサイトはこちらです。
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