最期の贈り物

2010.11.21
最期の贈り物

著:中島久美子
出版社名:学陽書房
発行年日:2001年04月
価格:\1,680
ISBN:978-4313860988

大学の名誉教授の秋月徹三は、人間性あふれる人格者として、家族にも周囲の人々からも慕われていた。しかし、最愛の妻が死んでから、呆けの症状が始まり、やがて重度の認知症へと進んでいく。それは平凡に暮らしていた家族を巻き込み、家族の崩壊へとつながっていく。認知症高齢者にとって、家族にとって、理想的な「居場所」はあるのだろうか...。

「幸せな介護」とは何か、を探る介護小説。家族の幸せを懸命に考える姿は感動的です。

あとがきの中で、著者の中島さんは「現実の介護の状況はあまりにもきびしいことを実感し、もっと救いのある結末がほしい、それを描くには小説しかないと、初めての小説に挑戦することになりました。」と語っています。日本や海外の文化・教育・福祉・経済などの知識の深さに定評のあるライターとして活躍している中島さんは、本書を書くにあたって介護の手記や介護の参考書などから多くを学び、現実に介護に関わる人々からもお話を聞いています。小説ではありますが、「幸せな介護」を見つける参考書にもなるでしょう。

介護という中で、理想的な「居場所」をみつける事の大切さを、改めて考えさせられる一冊です。

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