著:ソフィー・ファン・デア・スタップ
翻訳:柴田さとみ
出版社名:草思社
発行年日:2010年06月
価格:\1,680
ISBN:978-4794217660
本書は、普通の女子大生ソフィーがガン告知という絶望の淵から立ち上がり、ウィッグ(かつら)を使って、再び自分を取り戻していく過程を綴った手記です。
私はただ伝えたかっただけ。ガンとともに生きることは可能だと。
これまでと同じように笑って毎日を楽しむことができるのだと。
それに、ウィッグを着けるのはすごく楽しいってことも...
ソフィーは現在、学業と並行してジャーナリスト・作家としても活動しています。
抗ガン剤の副作用で髪を失ったソフィーは、鏡に映る自分の姿を見て絶望的な気分になりますが、ウィッグを着けるようになったことで、その心に変化が起こります。9つのウィッグに9つの名前を付け、ウィッグに合わせて丁寧なメイクをし、お嬢様やセクシー系、乙女チック......と、色々な女の子になりきりました。それを楽しむことができるようになった時、「ガン患者である自分」を受け入れる事ができたのです。
女性、しかも20代の女の子にとって、髪型や外見は何よりも重要な事柄です。病気だから何もかもあきらめなければいけないと思い込んでいる闘病中の方も多いでしょう。ウィッグの問題も、デリケートで表立って語られることが少ないのが現状ですが、実際に当事者にとっては大問題です。
世の中には、病院や治療法に関する情報はたくさんありますが、患者さんの心のダメージを和らげる情報は決して多くはありません。若い女性としての生々しい欲望を素直に語っている本書は、同じ苦悩を持っている方、そしてサポートする周りの方にとっても、貴重な一冊となるでしょう。
看護ネット事務局