編集:中山 和弘・岩本 貴
出版社名:中央法規出版
発行年日:2011年12月
価格:\2,730(税込)
ISBN:978-4-8058-3604-0
最近の医療現場では、医者から患者さんに対して、直接、正確な病名や今後の治療法について説明されることが多くなっています。これは、患者さん本人の意思を尊重するのと同時に、病気と闘うためのモチベーションの向上にもなっています。しかし、こうした配慮の裏には、別の問題も生じてきています。そのひとつが治療方針の意思決定です。治療の効果とリスクを説明され、承認をしなければならない患者さんや家族は、その説明された治療が最善なのか、他に選択肢はないのか不安に感じることも少なくないようです。
そうした不安を持った患者さんは、自分に合った治療方法や、その他病気について様々な情報を集めるようになります。しかし、インターネットや書籍など、多くの情報があふれる現代では、その情報の何が真実なのか、自分にとって最善な方法は何なのか、逆に悩むことにも多くあるでしょう。また、患者さん自身の考え方と家族との意見の相違があったり、自分自身で決定ができない高齢者や小さいお子さんの病気のなど、家族が決定をしなければならないという問題もあります。体のための「最良な方法」と自分のための「最良な方法」に違いがでる場合には、医療現場と患者さんの間で溝が生じるようにもなります。
「協働して意思決定できるには、医療者が患者や家族の様々な状況を十分に理解し、それに合わせてコミュニケーションを行うことが求められる。そのために、今、円滑なコミュニケーションを促進し、よりよい意思決定を支援しようという動きが出てきている。本書では、日本における先駆的な事例を通して、患者中心の意思決定のための情報共有やコミュニケーションを支援する方法を紹介している。」
『はじめに』の中でこのように書かれているように、本書は、医療関係者が、治療などの選択肢を前に戸惑う患者さんと接する際に必要な、知識や考え方が軸になっています。
意思決定は、医療者と患者さんが別々に行うことではなく、双方のスムーズなコミュニケーションの中から生まれるものだとすれば、本書は、患者さんを含めた意思決定が必要な人全てに役立つのではないでしょうか。
自分自身が納得して決定をするための支援になる一冊です。
看護ネット事務局