著:岩貞 るみこ
写真:澤井 秀夫
出版社名:小学館
発行年日:2011年11月
価格:\1,575(税込)
ISBN:9784093881968
一匹の犬が、静かな病院の廊下を歩いていく。犬の名はベイリー。ベイリーを見つけたパジャマ姿のこどもたちが、次から次へと顔を見せる。寝たままの男の子は、ベイリー見たさに上半身を起こした。医師と看護師が目を丸くする。何カ月も笑わなくなっていた子が、ベイリーに会ったとたん笑った(本文より)
本書は、静岡県立こども病院で、入院生活を送っている子ども達と主人公ベイリーの交流を、文章と写真で綴っているドキュメントです。東海地方の小児医療の中心的役割を果たしているこの病院は、セラピードッグを常駐させるという、日本初の試みを取り入れました。院内に「犬」を入れるには、多くの問題がありましたが、それらをひとつずつ取り除き、子ども達の安全を確保し、毎日ベイリーと子ども達が触れ合える環境を作り上げ、ドッグセラピーの道を切り開いていったのです。
ドッグセラピー導入のきっかけは、自らのお子さんを亡くされた日本在住の米国人女性が立ち上げた『タイラー基金』です。病院でベイリーと共に活動をしている森田優子さんは、子ども達の笑顔のためにと、看護師をやめて「ハンドラー」に転身しました。
また、本書の素晴らしい写真を撮影した写真家の澤井秀夫さん、本書をまとめた著者の岩貞るみこさん。その他たくさんの方の協力で、「セラピードッグ」が今後も活躍できるきっかけができました。
一人でも多くの方が本書を読んで、「ドッグセラピー」に対する理解を広めていただきたいと思います。
子どもだけでなく、辛い治療にあたっている患者さんや高齢者の方たちに少しでも笑顔をもたらす活動となるでしょう。まだまだ慎重な意見も多くありますが、本書のベイリーとふれあう子ども達の笑顔がそのきっかけとなることを祈ります。
看護ネット事務局