両親四人 看送りの記
~父母からの最期の贈りもの~

2013.08.21
両親四人 看送りの記 <br />~父母からの最期の贈りもの~

著:長濱 晴子・長濱 直志
出版社名:文藝春秋企画出版部
発行年日:2013年07月
価格:\1,470 (税込)
ISBN:9784160087798

......(義父の死に際して)突然とはいえ、私自身に看送る覚悟ができていなかった。
だからお別れの時間もなかった。これではただの「見送り」で、心の籠もった「看送り」とはいえない......この後悔を、私自身が解決していくためにはどうしたらよいか。これから訪れるであろう三人の両親(義母、父と母)の亡くなる時には、絶対に後悔しない「看送り」にしたいと強く決心し、考え続けることになりました。(本文より)

「見送り」ではなく「看送り」。看護師である著者は次のように言っています。
「見るは、目を使って見る。それに比べ、看るは目と手を使って見る。それも目で見て、手で触れて見る。つまり五感を使い全身全霊で見ることである」
看護師として医療の現場にいた著者は、突然訪れた義父の死に後悔し、次は「見送り」ではなく「看送り」をする覚悟をします。

人は死が近づくと、自然にそれを受け入れる準備段階に入るそうです。大切な人の最期に、安らかな死を迎えさせてあげるためには、家族がもっと死についての知識を持つべきだ...この作品はそうしたことを、自らの体験を持って語っています。

超高齢者社会といわれる今、親の最期を身近に感じている方は多いと思います。しかし、死について近親者が語ることは避けている傾向にあるのではないでしょうか。著者は子どもの頃から家族で「死」について話しあっていたといいます。親がどんな最期を望んでいるか良く理解していたからこそ、お互いに満足のいく「看送り」ができたのでしょう。

本人が「どうしたいか」を良く理解し、ターミナルケアを学び、その時に備えることの大切さを強く感じさせてくれる一冊でした。

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