いかにして患者の「気持ちいい」は生まれるのか

2020.09.01
いかにして患者の「気持ちいい」は生まれるのか

シリーズ【看護の知】
著者:島田多佳子
発行所:株式会社 日本看護協会出版会
発行年日:2017年10月
A5判/232頁/定価(本体2,800円+税)
ISBN: 978-4-8180-2062-7

筆者は「はじめに」で「この本の書籍化にあたっては、博士論文を研究者でない一般の看護職が読みやすいように、平易な記述やイラストなどを多用して単行本として出版したい、との旨を出版社の担当編集者より伺った」(P3)と綴っています。さらに巻末の「Appendix(付記)」では、この本のもととなった博士論文の研究方法に関する概略が収載されています。

研究の結果、3人の患者の語りからみえてきたこととして、「ちょうどいい温かみを感じられる」「楽あるいは大丈夫を感じられる」「看護師の配慮や心遣いを感じられる」「自分の身体・看護師・時間や空間の境界・隔たりがなくなる」「背後にあるつらさや制約、不確かさから、いっとき放たれる」という5つをあげています。

「気持ちいい」という体験は、一人ひとり時間や場所・状況・体調などによって きっと一つとして同じものはなく、また受ける側と与える側でも捉え方は異なるはずです。

ただ、患者の「気持ちいい」という漠然とした感じ方を、筆者が丁寧に問い直すプロセスを読むことで、患者本人にとっては、自分の気持ちを整理することにつながり、看護師にとっては、患者に対してどうしたらよりよいケアを提供できるかを考える機会につながると思います。さらに、まだ患者でもない、また看護師でもない、私たち一人ひとりも 自分が患者になったときの、あるいは看護や介護をする立場に立ったときの、ヒントとなるものが見つけられる一冊になるのではないでしょうか。

目次

  • Ⅰ プロローグ――患者の「気持ちいい」体験を探るために
  • Ⅱ 患者の語り
  • Ⅲ 患者の語りからみえてきたこと

Appendix[付記]

  • Ⅰ 文献の探求
  • Ⅱ 方法論の探求
  • Ⅲ 研究の具体的な方法プロローグ

看護コミュニティ

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