家族はなぜ介護してしまうのか 認知症の社会学

2020.12.01
家族はなぜ介護してしまうのか 認知症の社会学

著者:木下衆
発行:世界思想社, 2019年2月
B6版/241頁/定価(本体2,300円+税)
ISBN:978-4-7907-1726-3

昨今、超高齢化社会となった我が国においては、高齢者が高齢者を介護する「老々介護」の世帯が増えてきている。その多くが認知症を抱えた家族の介護である。実際の介護は、自分自身の経験から、知識や技術を持っていても、とても大変なことといえる。作者は文中で、「家族介護が、『日本の美風』でもなんでもなく、特に1970年代以降に社会的につくりあげられたものであることは、高齢者介護を研究する者にとって常識であろう。そうやって、介護の責任を家族に課してきたことが、一方で介護家族(特に女性たち)への過重な負担として、他方で高齢者たちを取り巻く劣悪な環境へと帰結した」としている。

痴呆症の家族の「その人らしさ」、「個人を尊重」しつつ、介護をする家族にとって「家族介護はなぜ大変なのかということ。その大変さの源泉はどこにあるのかということ。そして現状で何が問題なのかということ」を十分に理解し、作者が目指す「建設的な議論」、そして「介護する人、される人双方にとっての幸せ」につなげていくために一読すべき内容の本である。

目次

  • 序章:新しい介護、新しい問題
  • 1章:認知症の概念分析へ―本書が問うもの
  • 2章:認知症に気づく―何が、なぜ「おかしい」のか
  • 3章:患者にはたらきかける―「より良い介護」を目指して
  • 4章:悩みを抱える/相談する―規範を再構築する
  • 5章:他の介護者に憤る―介護家族による「特権的知識のクレイム」
  • 終章:新しい認知症ケア時代を生きる―悩みが映しだすもの
  • コラム

看護コミュニティ

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