著者:田口一成
発行:PHP研究所, 2021年6月
19cm / 352ページ / 定価1,760円(税込)
ISBN:978-4-5698-4913-3
皆さんは、この書籍のタイトルを見てどのような印象を受けるだろうか。
私は、友人からこの書籍を紹介されタイトルを聞いた時に衝撃が走った。なぜなら、社会問題は、行政やNPO、ボランティアによって取り組まれているものであり、ビジネスでは採算が取れないため取り組めないという固定概念を持っていたからである。
著者は、社会問題を解決するビジネス(ソーシャルビジネス)しかやらない会社、ボーダレスグループの創業者である。貧困、難民、過疎化、人種差別、耕作放棄地、フードロス、地球温暖化などに取り組み、いまや世界15カ国で40の事業を展開し、従業員は約1500名、グループ年商は55億円を超えるまでに事業が拡大している(2021年4月時点)。
本書では、社会問題に取り組みながらも採算がとれ、持続可能なビジネスを確立するまでに至った経緯や仕組み、ノウハウが記されている。その中で著者は、行政やNPO、ボランティアといった重要な取り組みに加え、ビジネスパーソンこそが非効率を含めて経済が成り立つようにビジネスをリデザインし根本解決をすべきである主張している。
健康は、健康の社会的決定要因にあるように社会的不平等が大いに影響する。看護職としてこの社会的不平等に取り組み健康格差の是正を図るが、その取り組む場として行政のみならずビジネスといった新たな可能性を導くことができた。
本書は、社会問題に取り組む看護職の新な活躍の場のヒントが得られる一冊となる。
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