著者:宮口幸治
発行:新潮社, 2021年4月
18cm / 186ページ / 定価792円(税込)
ISBN:978-4-1061-0903-4
書籍URL:https://www.shinchosha.co.jp/book/610903/
ベストセラーになった、「ケーキの切れない非行少年たち」という本の第2弾であるこの本は、第1弾に引き続き、社会問題について指摘しています。社会問題というと、貧困や虐待を連想するかもしれませんが、それとは少し違うようにも感じます。ここでいう社会問題は、発達障害や境界性知能(IQ70~84)の人がおかれている環境や、彼らへの支援方法についてです。
"みんな違ってみんないい"はよく聞くフレーズですが、世の中は本当にその言葉だけで片付くものなのでしょうか。そうはいっても"みんなできているのに、自分だけできない"と感じる時、つらい思いをして困るのは、周囲ではなく本人です。境界性知能のこどもの家族は、「もう勉強は頑張らなくていいよ」と、本人なりに頑張ることさえも止めてしまうこともあります。それでは本人の持つ力を最大限引き延ばすことはできず、むしろ成長が抑制されてしまうこともあります。そして、頑張れない人の環境や状態を知ることが、本人と家族にとって、もっとも必要な支援は何かを見つけ出す手掛かりになるとわかりました。
頑張るとはどういうことなのか、人はなぜ頑張れるのか、頑張れない人は怠けているのか、そもそも頑張れない人なのか、私の中にあった疑問と少しのもやもやが解消されたような気がします。
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