著者:古市 憲寿
発行 : 講談社,2011年9月
304ページ/定価:1,980円(税込み)
ISBN:978-4062170659
格差社会である絶望の国、日本の現代の若者は不幸だと言われる一方で、20代の実に7割が現在の生活に満足しているという。本書は、当時26歳の社会学者である古市憲寿が若者の一人として、この奇妙でいびつな幸福感の源泉を探り現代社会のあり方について記している。
筆者は健康で文化的な最低限度の生活を送り、幸福であるためには「経済的な問題」と「承認の問題」という2つの条件を満たしていることが必要であると述べている。経済に対しては、日本では社会保障制度により最低限度の生活が保障されている。また承認に対しては、現在TwitterやInstagramなどのSNSやYouTubeが流行しており、容易に承認欲求を満たすことのできる社会となった。つまり、「社会保障制度による経済の保証」と「SNSによる他者からの承認」により、日本の若者は幸福感があるのではないかと考えた。
その一方で、少子高齢化が進み社会保障費が膨大し続けている現状から、幸福を継続して持ち続けることができるのか疑問である。日本の未来への不安を抱えつつも幸福感のある若者の一人として、今後どのように生きていくべきか、考えるためのヒントを得ることのできる一冊である。
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