著者:中山和弘
発行:(出版者) 講談社 (出版年月)2022年12月
(大きさ)26cm / (ページ数) 239ページ /(定価)2600円(税別)
ISBN:978-4-06-530106-7
書籍URL:https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000371765
みなさん「ヘルスリテラシー」という言葉を耳にしたことはありますか。
ヘルスリテラシーとは、健康や医療の情報を「入手」「理解」して、「評価」「意思決定」できる力のことです。
まず、健康や医療の情報を入手するといっても、世の中には、様々な情報が溢れており、どの情報を信頼してよいのかと悩んだ経験はないでしょうか。筆者は、信頼できる情報を見極める方法として、「か・ち・も・な・い」を紹介しています。「か・ち・も・な・い」とは、か:書いた人は誰か?、ち:違う情報と比べたか?、も:元ネタ(根拠)は何か?、な:何のための情報か?、い:いつの情報か?の頭文字をとったものです。
さらに、意思決定での重要な要素の覚え方として、「胸に『お・ち・た・か』」が紹介されています。大事な意思決定では、お:オプション(選択肢)、ち:長所、た:短所、か:価値観の4つが重要な要素です。この合理的な意思決定の4つのプロセスは、納得できる意思決定であるともいえます。
また、私が印象に残った内容は、「コミュニケーションとは、情報を一方的に伝えることではなく、共有することであり、それが成り立つためには、その目的が何かを確認し、知識の差を確認しつつ、ともに理解しあえる言葉を用いることが必要だということ」です。一方的なやり取りでは、双方が納得した意思決定にはつながらないでしょう。言葉の選択や、伝わり方を確認することは、互いの理解のためにも重要であると感じました。
ヘルスリテラシーは、患者さんや医療者だけでなく、すべての人に必要なものであると思います。ヘルスリテラシーについて考えるために、ぜひ読んでいただきたい1冊です。