健康格差社会 : 何が心と健康を蝕むのか  第2版

2024.04.09
健康格差社会 : 何が心と健康を蝕むのか  第2版

著者:近藤克則
発行:医学書院
発行年日:2022年6月15日
大きさ:21cm
ページ数:250ページ
価格:2,600円(税別)
ISBN:978-4-260-04968-9
書籍URL:https://www.igaku-shoin.co.jp/book/detail/108914

 近年、日本の社会における様々な「格差」が報道され話題となっていますね。「健康格差」もその一つです。本書の初版は、国際的にみると日本は平等な国であるという当時の社会の思想に対して日本は健康にまで格差が生じていることを示し、「健康日本 21(第 2 次)」等の国の政策で健康格差の縮小が目標に掲げられるに至りました。これにより、健康格差の存在は今や共通認識となっています。

 本書では初版発行から現在までに蓄積された多くの科学的知見を基に、心と社会と健康の繋がりについて紹介されています。医療と公衆衛生、健康政策の見直しに向けた課題や社会政策への提言などの社会的なことから、ストレス対処能力などの「生き抜く力」や「笑い」、「人間関係」の健康への影響などの個人の日常的な効用についても研究が紹介されています。そのため、健康の社会的決定要因や社会疫学研究に関する研究者や実践・臨床家,企業・事業者,政策・行政担当者などの専門家だけでなく、これまであまり関りのなかった方も本書の内容を自分自身の日常生活に活かすことができ、そのことが健康格差の縮小の一助となるのではないかと考えます。

 本書を通して「健康格差」について学び、社会で生じている問題を自分事として捉えてみませんか。

  • I 健康格差社会と求められる総合的な対策
      第1章 健康格差社会──何が心と健康を蝕むのか
      第2章 見直しを迫られる健康・疾病観と保健・医療
  • II 生物・心理・社会(bio-psycho-social)モデルと社会疫学
      第3章 生物・医学モデルを超えて──パラダイムとは何か
      第4章 上位層は健康で,底辺層は不健康──社会経済状態と健康
      第5章 なぜ学歴・職業・所得(社会経済的要因)が健康に影響するのか
  • III 社会と健康をつなぐもの──心の大切さ
      第6章 「病は気から」はどこまで実証されているのか──主観的健康感・心理・認知の重要性
      第7章 うつは心の風邪か──うつの重要性
      第8章 ポジティブな「生き抜く力」は命を救う──ストレス対処能力
      第9章 なぜ結婚や友達は健康によいのか──人間関係と健康
      第10章 仕事と健康──職業性ストレスから健康経営まで
  • IV 社会のありようと健康
      第11章 所得格差と健康──相対所得と格差が大きな社会の影響
      第12章 コミュニティの力,再発見!──ソーシャル・キャピタル
      第13章 介入すべきは個人か社会か──ハイリスク・ストラテジーの限界
  • V 社会と健康をめぐる課題
      第14章 基礎科学としての社会疫学の課題
      第15章 医療と公衆衛生・健康政策の見直しに向けた課題
      第16章 「健康によい社会政策」を考えよう
      第17章 社会疫学──社会のための科学・21世紀のための科学
  • あとがき
  • 索引
  • Column

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