7月4日、「命の授業」が無事終了した。日本助産師会東京都支部中央区分会が年2~3回小学校で行っている授業だ。7年ほど前から、出産に立ち会う助産師が伝えられる性教育を「命の授業」として始めた。「あなたがいてしあわせ」をキャッチフレーズに小劇団なみの人数で、お話あり、出産劇あり、体験学習あり、詞の朗読ありと盛りだくさんの60分授業だ。授業の終盤、親から子供へのメッセージで感動がピークに達する。終了後、参加した子供や家族の感想を読んで、メンバーは「やってよかった」と安堵感と達成感を感じ、毎年続けてしまうのだ。助産師会に少しの謝礼をいただくが、メンバーはボランティアで行っている。ここ数年は、聖路加看護大学の学生が授業の一環で参加したり、小児科の看護師も夫役で友情出演してくれるので感謝している。
子供が小学生の頃までは、自分の小さい頃のアルバムを見たり、生まれた頃のエピソードを聞いたりするのが好きだ。自分が愛されているという実感がもてるのだろう。子供はいくつになっても親から愛されたいと思っている。もちろん親も子供を愛しているが、日常生活の中では出産した時の感動は忘れがちになり、お互いにうまく愛情表現できない親子も多い。この授業は命の連続性、命は無二のものであること、家族の子供への思いを伝えることを目的に行われている。「命」について親子の共通話題として話し合ってもらうためのよい機会にしてほしいと思っている。
先日、墨田区の寺島小学校のお母様たちから連絡があり、10月に命の授業を行うことになった。大変積極的で、いっしょに授業を作っていこうとする意欲が感じられて嬉しくなった。そこでは以前、地域の助産師と保護者が命の授業を協働でやって大変よかったのだが、10回ほどの打ち合わせと練習など準備が大変で、次回は助産師にお断りされたという経験を持っていた。まさに、市民主導なのだと思うが、多忙な医療者にとっては負担も大きかったのだと思った。私たちは、基本的には私たちのスタイルは変えずに、保護者の方にどんな授業をしてほしいかを伺い、希望を取り入れ授業を組み立てることにした。
このような活動を長く続けるためには、なるべく負担が少なく、やってよかったと実感を得られることが重要だと思う。
日本助産師会中央区分会の活動は他にも、中央区の女性センター主催のブーケ祭りや聖路加看護大学の白楊祭に参加し、助産師の仕事や命の授業の活動をアピールしている。会員も若者から中年まで年代を問わず、ややクラブ活動の乗りでワイワイやっているので楽しいが、命の授業もお弁当代くらい出るような活動に発展させていきたいものである。