看護を深めること

2011.05.20
田中 志保
  • 2011/05
  • 看護師:田中 志保

外科系病棟で働き始めて4年目になりました。
日々目まぐるしく過ぎていく病棟の中で、ある程度のことを自分で考えて行えるようになってきたように思っています。それと同時に、さらに踏み込んで看護を考える難しさに直面している今日この頃です。

私の勤務する病棟は、術前術後から、化学療法、ターミナル期まで様々な背景を抱えた患者さんが入院していきます。疾患は主に癌で、患者さんは人生の大きな岐路に立たされている場合が多いのです。
癌を乗り越えられるかな、今後の人生・老後をどう過ごそうかなという患者さん自身の思いや、どういう最期を迎えそこにどう寄り添うかという患者さんの家族の思いとも必然的に向き合わざる得なくなります。
生き方を支える、援助するということに、私のような人間としても未熟な者が向き合うのは難しいことです。私よりも何倍も長く生きてきて、色んな経験をしてきた患者さんが目の前にいるのです。

私には現在配偶者はいませんし、子どももいません。
幸せな家庭で不自由なく育ててもらって、ここまできました。

でも目の前の患者さんは、例えば自分の子どもすら面会に来ない、高い治療費によって生活が脅かされる、など私には経験のないことばかりに直面していました。
患者さんに「あなたにはわからない」という言葉を投げかけられたこともあります。そんな患者さんに対して、その人らしく過ごせるように看護を行うためには、私をという人間そのもの全てを使って考えても足りません。

私自身なぜ、精神的に疲弊して、残業などで自分の時間を削って、仕事をしなければならないんだろうと落ち込むこともよくあります。看護師はボランティアじゃないんだ、自分を見失ってまで仕事をしなくてもいんじゃないかと。

しかし、もし、他の職業についていたら、「生き方」「死に方」なんて私の年齢では考えることもしなかったでしょう。それを幸運と捉えるようにしたら、私という人間が何倍にも成長できるような気がします。

患者さんと冗談を言い合いながら過ごす時間は何より楽しいですし、それを励みに一歩ずつ「私なりの看護」に近づいていけたらいいかな、と思ってます。

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