今なんで小児看護をやっているのか?
学生の時、小児看護は苦手で実習もすごくつらかったです。1歳6カ月のクール(?)な男の子を受け持ちましたが、なかなか遊ぶこともできず、お気に入りの場所は大部屋の大きな窓際に自分のベビーカーにのって外を見ることでした。ただそのそばにいるだけしかできませんでした。
そんな私が卒業以来20数年なぜ小児看護を続けているのでしょう。
聖路加に入学当初は、保健の先生になりたいと思っていました。私が通っていた高校では、養護教諭の先生が、看護師免許と高校や中学の保健の免許も持ち授業を行っていました。保健の授業では、日常生活に役立つものが多く、印象深い授業が多かったです。高校3年の時には育児などについても学びました。印象的なのは、「子どもはね、かわいいーって抱きしめてあげることが大事なのよ。」と満面の笑みで話されていたことがいまだに鮮明に記憶に残っています。こうした授業や保健室での関わりから、看護師免許をもつ保健の先生を目指すようになりました。
卒業時は、小児専門病院に就職し、その後大学での助手、大学病院や保健センター、などで働きました。そんな私は、今地域の中の病院の小児科外来で働いています。地域に生活する子どもたちがかぜで受診したり、予防接種や健診など、健康な子どもたちの成長する過程に関わりながら日々を送っています。もちろん中には大きな病気が見つかったり、入院が必要になったりして専門病院に紹介する時もあります。その中で子どもたちが成長に伴って、自分自身の体を大事にして、自らの健康を守るための行動をとっていけるように支援することが私の小児看護としての大きな仕事です。このことは、実は高校の時に目指していた保健の先生の仕事に通じるものがあるように思います。
今は予防接種がどうして必要なのかを子どもたちに説明し、前向きに取り組めるようなプログラムの研究のお手伝いをしています。
日常の診察場面での子どもたちをよく見ていると色々な形で様々な発信をしています。診察が嫌で、「お口あーんしない?」「今日は注射しない?」など聞きながら診察室に入ってきます。そんな時に「大丈夫だから」とか、「すぐ終わるから」といっても子どもは同じ言葉を繰り返すばかり。「お口あーんしない?」「注射しない?」「何で注射なんかするの?」子どもたちが聞いているのはそこではないから・・・こうした時に子どもたちのわかる言葉できちんと答えてあげることがすごく大事なことだと感じます。「お口あーんはするよ。」というと繰り返されていた言葉は「なんで」に変わったりします。「今日は注射しないよ。」には「ほんとに?」など泣いていた子どもは急に落ち着いて次の言葉を出してきます。
こどもたちの聞きたいことにきちんと答えることで子どもたちは思いもよらない力を発揮します。泣いて嫌がりながらも口をあけたり、注射で必死に動かないように頑張っていたり!