私は在学中に友人たちと訪れたインドのマザーハウスがきっかけとなり、海外医療に興味を持ち始めましたが、当時は急性期看護に興味があり、卒後は外科系病棟で勤務しました。そしていわゆる"燃え尽き症候群"で、退職。しばらく途上国と言われる国々を巡っていました。その時に感じた「旅行ではなく住んでみたい、働いてみたい」、この思いを叶えるために、学生時代の恩師がかつて参加していた「青年海外協力隊(以下、JOCV)」に思い出し応募、現在に至ります。アジアが好き、行ったことがなかった中央アジア、モスクが好き等という理由と分野を考慮してウズベキスタンを希望しました。
現在、私はウズベキスタン国カラカルパクスタン自治共和国(以下、国内)の首都ヌクス市保健局にて保健師として活動をしています。国内統計を取り仕切り、各州への健康教育に関する指示を行ったり、広域的な活動を行っている場所です。こちらの医療職者は新しい医療情報を得ることが難しく、更新されない知識のままで医療行為を行ったり、健康に関する講話を行っていることがあります。私は、「情報の更新と分かりやすく参加型の健康教育の提案」を目標に掲げ、おそらく日本人で分かるのは私だけではないかと言われている、カラカルパク語という言語を用いて活動をしています。私たちJOCVはあくまでも黒子的な役割で現地の方が主体となり、JOCVが帰国した後も現地の方々が自分たちで継続できるような支援を行っています。
カラカルパクスタンは21世紀の前半には消滅すると言われている「アラル海」を有しています。国内領のアラル海は日々枯渇が進んでおり、その影響で砂塵がよく舞いまた、水は塩分を多く含み、それに伴う健康被害が多く見られます。呼吸器疾患、心疾患、多剤耐性結核などが蔓延しておりこの地域にはJOCVだけでなくUNやUNICEF、MSFなども活動しています。広域的に、そして他の国際機関が関与している地域であるため、誤りは絶対に許されないという緊張感と責任を常に感じていますが、だからこそ変えられることもあり、そういった点にやりがいも感じています。
ですが価値観の違いや生活習慣や文化の違い、時にはこの国の体制に悩むこともあります。例えば、「明日までに資料を作って」とか、締め切りを守って行った仕事が「やっぱり必要ない」、お願いしたことが2週間後に出来上がる、自分が良ければそれでいいスタイルなどなど....。また宗教上の理由で用いることがタブーとされている言葉や考え方もあり、資料を作る際に苦労します。しかし日々学びが多く、自身の考え方の幅が広がったかなと思います。また、今まで考えることがなかった日本の良さについても日本を離れたからこそ気付くことができました。
同級生は役職についたり看護師9年目となる中、方向性の定まらない私でしたが、この国の人たちのおかげでまた「看護」というものに携わりたいと思えるようになり、今後は国際保健分野で学び直し、お世話になったこの国の人たちに還元できたらと思っています。
看護師を目指して勉強中のみなさん、看護師にはなりたいけれど分野が決まらない学生のみなさん
興味のあることには進んで手を出し経験として身につけておくと、私のように時が経った後につながる何かが見つかるかもしれません。学生時代は看護以外の様々な分野の人と出会えるとても貴重な時間です。沢山の人と話して自分を深めてください。それは看護感へとつながり、自分より経験が豊富な患者様と接する上で、とても必要なものになると思います。
海外医療に興味があるみなさん
海外医療に関する情報を得て、語学の勉強をしてください。JOCVだけでなく様々な機関で看護職は働いています。その方々とコンタクトを取っていろんな話を聞いて、自分が関わりたい方向性を模索してください。もちろん、私でよければいつでもお話します!