ふと、看護師になろうと思った頃のことを思い出しました。
小学校6年生の頃、101歳の曽祖母も一緒に暮らしていました。身の回りのことは全て自分で行い、凛とした姿の曽祖母のことを今でも覚えています。曽祖母はだんだんと食が細くなり、横になっている時間の方が多くなっていきました。その頃から定期的に訪問看護師さんが来てくれるようになりました。お風呂に入ることが難しくなった頃、訪問看護師のAさんは足浴をしながら洗髪をしてくれました。その時の曽祖母の気持ちよさそうな顔が今でも忘れられません。足浴と洗髪の後、Aさんは私に「さっぱりして喉が渇いているだろうから、ひいおばあちゃんに何か飲ませてあげようか。少しずつね。」と声をかけてくれ、Aさんと一緒にヤクルトを飲ませてあげました。曽祖母が美味しそうに飲んでくれて、自分も曽祖母のために何かできたことが嬉しかったのです。
その頃の私は、寝たままでもできること(ケア)に驚いたこと、何より曽祖母があんなにも気持ちよさそうにしていたことが印象的で、そんなことができるAさんのような看護師に私もなりたいと思い、それが最初のきっかけだったなと思い返しています。
その後、大学・大学院に進学して看護師になりました。看護師として病棟で勤務し始めた当初は、想像以上の忙しさや看護の大変さにこの先大丈夫かなと思うこともありました。それでも、患者さんやご家族から名前を覚えてもらえたり、あなたでよかった・安心したと言ってもらえたり、ありがとうと感謝されたり、清潔ケア(清拭、足浴、手浴など)の後に「本当に気持ちよかった」「生き返ったよ」「元気がでてきた。またリハビリ頑張ろうかな」と言ってもらえたことは嬉しく、自分も頑張ろうと思えたのでした。
患者さんが元気になって退院していく姿や術後少しずつ元の状態に回復していく姿はいつ見ても本当に嬉しいものです。しかし、元気になって家に帰れる方ばかりではありません。病院で生を全うする方もいらっしゃいます。私が5年目の時に受け持ったBさんは残された時間が週単位の患者さんで、一度自宅に帰りたいという希望がありました。私たちは皆で外泊の調整をし、無事にその希望を叶えることができました。Bさんは「家に帰れて本当に幸せだった。やり残したことはない」と話し、ご家族からも「本当によかったわ。家族もみんな集まって、久しぶりに(Bさんの)いい顔がみれた」と聞いた時は、本当に嬉しく、看護師をやっていてよかったと思える瞬間でした。
患者さんやそのご家族から多くのことを教えていただきました。患者さんの思いに耳を傾け、その思いや価値観を大切にし、心地よいケアを提供できる看護師でありたいと思っています。