各地で大雪をもたらした冬が落ち着き、春が近づいて参りました。
4月から看護学生としてご入学された皆様、誠におめでとうございます。
看護師として未熟な私が助言するには恐れ多いことではございますが、看護職を志し入学された皆様へ今後の学生生活の一助となればと思い、ペンを持たせて頂きます。
まず、皆様が看護職を志すにあたり、様々な背景があると思います。
私も経済学部という全く畑の違う学問から編入学をして看護師になりました。
あの時の看護が忘れられなくて、経済的に手に職を付けたくて...
それぞれの背景をもとに、皆様はこれから医療、看護を学ばれていくと思います。
動機やモチベーションは違えども、同じ看護職者として働く限り、最優先に考えるべきは患者さんのことです。
私たちが学ぶ意味は、患者さんがより良い健康状態になるため、もしくは、より良い最期を迎えるために、どうすれば良いのかを知るためだと思います。
解剖生理学をはじめ、身体的な側面への理解がなければ人を看ることはできませんし、患者さんの生活を理解するためには心理的、社会的な側面も重要になります。
医療の知識は常に変わっていくため、学び続ける姿勢が大切になると思います。
そして、自分自身の身を守るためでもあります。
看護職をはじめとした医療者は資格があるからこそ、患者さんと関わることができます。
知識がなければ人を殺める可能性もあります。治療に用いる多くの薬剤や医療行為は必ずリスクがつきものですが、実施する上で、そのリスクを「知らなかった」では済まされません。
私自身も薬剤を取り違えるインシデントを起こしたことがありますが、もしかしたら治療するために入院していた患者さんを殺めていたかもしれませんし、既に看護職者ではなくなっていたかもしれません。
間違えをゼロにすることは難しいことではありますが、患者さんのためにも、自分自身のためにもその間違えを最小限にし、最善の医療を提供できるように、私たちは学び続ける必要があると思います。
学ぶということは医学、看護学に限ったことではありません。
テストで良い点を取る人が、必ずしも良い医療者ではありません。
病気を見るだけでなく、その人自身も看なければなりません。
そのためにも一人の人間としての経験値を増やす必要があると思います。
探求心を抱いて勉強することも大切ですが、旅行やアルバイトなど学校以外で多くの人と触れ合い自分とは異なる文化や価値観を知り人に対する理解を深めることも大切です。
是非とも皆様には学業に専念するだけでなく、人としての価値観を広げられる充実した学生生活を送って頂きたいです。
最後になりますが、いま学べる環境を当然と思わず、両親や友人、教職員の皆様への感謝を忘れずにお過ごしください。
長々と偉そうなことを書いてしまいました。
私自身への戒めでもありますが最善を尽くす医療者になるために一緒に頑張っていきましょう
改めてご入学おめでとうございます。
皆様のご活躍を心よりお祈り申し上げます。