いつまでも超えることができない看護師の先輩たち

2018.10.01
増澤 祐子
  • 2018/10
  • 看護師・助産師:増澤 祐子

私には、何年看護の場での経験を積んでも、超えることができない看護師の先輩たちがいます。
看護師になって半年が経過し、新人ながらも、看護師の仕事に少しずつ慣れて来た頃、準夜勤帯で、初めて「急変」という状況に直面しました。あっという間にSpO2は60%台へ低下し、聞いたこともないくらい低いモニター音が部屋に響き渡っていたことをいまでも鮮明に覚えています。収縮期血圧は50台。モニターが故障したのではないかと疑いたくなる一方、その場にいた医師は、どんどんと指示を出していき、現実におこっていることだと認識させられました。「アドレナリン!!!」と医師に言われながらも、私の手は震え、アンプルを上手くカットすることができませんでした。たった2,3分にも満たない時間が、私には30分にも感じ、患者さんを助けたいという思いとは裏腹に、怖さで手が震えていました。新人の私には、「人手を集める」という、急変時には欠かせない対応はできなかったのです。そんな時、先輩の一人がすっと部屋に入ってきて、「落ち着きなさい。大丈夫だから。」と私の背中をポンとたたき、急変に一緒に対応してくれました。この先輩は、私が、「こんな看護師になりたい」と憧れた、ロールモデルの一人です。

私は、看護師、助産師として働いていた期間に、「このような看護をしたい」「このような看護師になりたい」「このような助産師になりたい」と憧れる先輩たちに出会いました。自身のロールモデルとなる先輩たちに出会えたこと、そして、そのような先輩から多くを学び得られたことは、何にも代え難いものとなっています。何年経っても、私に多くを教えてくれた先輩たちを超えることはできません。超えることはできなくても、私自身が学び得た経験を少しなら伝えることはできると考えています。大学の教員となって、約半年が経ちました。看護の先人から得たことを、少しでも学生に伝えていきたいと思います。

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