インドネシア・ジャカルタから看護師国家試験合格を目指して

2019.04.02
齋藤律子
  • 2019/04
  • 看護師:齋藤律子

インドネシアは、日本から飛行機で南に8時間、時差は日本マイナス2時間の位置にあります。
日本のような四季ではなく、雨季と乾季があり一年中半袖で過ごすことができます。

私は看護学部を卒業後、病棟で3年働き、その後、治験コーディネーターとして働き始めて2年目、仕事も少しわかり始め楽しくなってきて、これから!という時に、配偶者の転勤でインドネシアのジャカルタへ引っ越す事になりました。
インドネシアではビザの関係で私の就労は難しく、知人に紹介してもらい「日本の看護師国家試験を受験するインドネシア人へ勉強を教える」ボランティア(JAMNA)へ参加しました。(http://jamna.jp/index.html

日本はEPA(日本・インドネシア経済連携協定)に基づき、インドネシア看護師を日本の看護師候補生として受け入れています。
インドネシア人も私達と同じ、看護師国家試験を受験しています。
日本の看護学生と同じ分厚い参考書片手にみなさんとても勉強熱心で、教える側にも熱が入ります。
インドネシアでも看護師技能試験(国家資格)が行われるようになりましたが、その制度が始まる前には、看護学校の卒業試験にパスするだけで看護師になった人もいます。

国家試験の問題に取り組む中で、医療というのはそれぞれの国に独自性があるのだなと感じた事を紹介します。

精神看護の問題を解いている時のことです。 統合失調症の患者さんの家族に、看護師が「これからどうしていけばいいのかわかりません。」と相談を受けた時に、どのような対応が適切か?
という問いがありました。
日本で看護学を学んだ方であれば「家族の思いを傾聴する、受け止める」といった趣旨の答えを導くことが容易にできると思います。
しかし、インドネシアの医療現場では違います。
相談をしてきた家族に対して「あなたの家族なのだから、家族がしっかりと支えなくてはダメでしょう!」と対応することが一般的だというのです。
インドネシアではこのような対応を取ることが一般的であっても、日本の国家試験で選択すべき回答は、日本の看護学生が学ぶ精神看護学に基づく答えなのです。

現在、日本の看護師国家試験問題の漢字には、全てふりがながふってあります。しかし想像してみてください。母国語ではない日本語、とりわけ平仮名、漢字、カタカナが混在する国家試験を受験することを。そして生まれ育ったインドネシアとは異なる文化の上に成り立つ看護の実践方法まで、勉強すべき点は日本人からは計り知れないものがあります。

異国の地で看護師の国家試験に合格したい!という気持ちを持った人たちを応援することのできる、このボランティア。
日本での仕事を辞めて臨床を離れる事に、不安はもちろんあります。しかし、今しかないこの時期を自らの看護知識を振り返るだけでなく、もっと広い視点から改めて看護学について考え、感性を磨いていきたいと考えています。

最後に、本文章を書くにあたりご協力頂いた日本アジア医療看護育成会(JAMNA)の小笠原さんへ感謝申し上げます。

こちらもご参照ください
看護師国家試験再受験支援プログラム http://jamna.jp/papers/pdf/hn_2017_10.pdf
日本とインドネシアの看護文化の違い http://jamna.jp/papers/pdf/hn_2018_07.pdf
治験コーディネーター http://kango-net.luke.ac.jp/community/nurse/1709.html

看護コミュニティ

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