2020年は新型コロナウイルス感染症により、世界中の人々の生活が一変したのではないかと思います。私もその中の一人です。私は緊急事態宣言が出された数日前に母校の実習室助手としてお世話になることになりました。
今回の自粛期間を経験して、これまで当たり前であった日常生活に対する意識や考え方が大きく変化したことについてお話ししたいと思います。
私が看護師1年目の時の指導者はとても厳しい先輩看護師でした。朝の申し送りが終わると先輩との個別の申し送りが始まり、受け持ち患者さんの情報や内服薬・点滴の作用副作用について事細かに確認が行われます。1つでも答えられないことがあると、調べなおすよう指導を受け、ファーストラウンドは周りと比べ30分以上遅れてスタートすることもありました。技術チェックでは、手順の把握や根拠の確認はもちろんのこと、ルート確保に至っては先輩たちに10回挿入し成功することが患者さんへの実施条件と、新人の私にはとても厳しく、試練の毎日でした。
当時は何をやっても怒られ、どんなに事前準備をして臨んでも先輩に指摘される日々が本当に辛く、目の前の目標も見失い、前向きに捉えることなど全くできない状態でした。
その後、先輩から離れ一人立ちしたのですが、そこでも先輩看護師には感謝することなく、昨年現場を離れることとなりました。
今回、新型コロナウイルス感染症により生活が一変したことで、当たり前であったことが当たり前でなかったことに気づくと同時に、周りの人々や恵まれた環境に対する感謝の気持ちがなかったこれまでの自分の行動を反省し、見直す機会となりました。
人に会えること、仕事があることなど、これまで有難みを感じたこともなかった日常に感謝したことで、新人看護師時代に手厚いご指導をしてくださった先輩に対する感謝の気持ちが数年の時を経て溢れてきました。
コロナウイルスは多くの人々を苦しめ、困惑させたことに間違いはありませんが、これによって私自身は過去の自分と向き合い、自分に足りていないものに気づくことができたのではないかと思っています。
私は現在、夢や希望を持った看護学生さんたちが看護師となるためのサポートを行っています。
自分の失敗より、学生さんには看護技術の向上だけでなく、看護師となる上で大切な相手を思いやる気持ちや、どんな状況であっても相手に対してありがとうと思える広い心や感謝の気持ちを持つことのできる人になってほしいという想いを込めて日々学生さんと接しています。
2021年は日常に感謝できる広く温かい心で溢れた毎日になることを願って、まずは自分の行動から学生さんたちに示していけたらと思っています。