私は、看護師になって2つの出会いに恵まれたと思っている。それらは、私にとって一生の宝だ。
1つは、新人看護師時代の同期との出会いである。別名「運命共同体」と呼ぶ。その由来は、入職時のエピソードに遡る。新人看護師として大学病院に入職した私は、4人の同期と共に腫瘍内科病棟に配属された。配属初日、こわーい師長さんにビシッとこう言われた。「あなたたち4人は、運命共同体よ!これから共に頑張りなさい!」
「運命共同体」というワードは、当時の私たちにとって、強烈な印象だった。今でも鮮明に覚えている。私たちは、自然に「運命共同体」という仲間意識が芽生え、切磋琢磨して看護師生活を送った。気付けば、悩みや相談事を共有し、励まし合い、分からないことは教え合い、気づいたことは指摘し合う関係となっていた。時には、仕事の愚痴も吐き出しつつ、看護について真剣に語り合うこともあった。ある意味、これが看護師として最初の"チーム連携"だったのかもしれない。
今は、働いている場所も役割もバラバラになったけれど、共に支え合い、苦楽を共にした仲間との縁は深く、今でも看護について意見を求めることもある。それぞれが、看護について真剣で、熱い思いを持っていた「運命共同体」の存在は、今も私の活力となっている。
2つ目は、私を育ててくれた数々の患者さんとの出会いである。私は、これまで入院・外来・在宅の患者さんとの出会いがあった。私は、これらの出会い中で、患者さんに看護師として育てて頂いたと思う。その理由を1つ紹介するなら、"患者さんは看護師をよく見ている"からである。そして、大事なことを教えてくれるのである。表現に語弊があるかもしれないが、先輩に怒られるよりも、患者さんから頂くご指摘は、何倍も深く胸に刻まれたというのが、私の率直な所感である。それは、患者さんご自身の目線、主観をダイレクトに教えて頂けるからである。思いもよらぬ気付きがあり、看護師として成長させてもらえる。だから、患者さんのご指摘から教わることは、非常にありがたい。
一方、患者さんから頂く温かい言葉は、心にじわーっと染み渡り、看護師に活力を与えてくれる。「ありがとう」「助かった」「安心した」、そんな言葉をいただける度に、私は「あぁ、また頑張ろう」と心が潤う。自分は、患者さんに支えられ、看護師を続けられているのだと実感する瞬間である。
これらの出会いを与えてくれた看護は、私にとって尊い。
この春、私は看護を教える側の教員、そして、看護研究を行う職に就いた。これまで経験してきた現場とは違えど、これも看護実践の一つであると考えている。私の研究テーマは、臨床現場で遭遇した沢山の患者さんとの出会いから生まれたものである。こうした貴重な出会いの上に成り立っている「今」に感謝しながら、今後も看護の道を修行したいと思う。