私には、女性としても助産師としても、尊敬し、愛してやまない助産師の先輩がいます。
今から約10年前、私は、助産師を目指す大学院修士課程の学生でした。看護師としての臨床経験はあったものの、自身が経験してきたこととは異なる専門性を学ぶ多くの機会に、戸惑いや困難を感じながらも、とても楽しい2年間を過ごしていました。この学生時代に、約2か月間の泊まり込みでの実習でお世話になったことからご縁がはじまり、今でも多くのことを学ばせていただいています。
私が助産学生だったとき、妊婦健診や分娩だけではなく、地域で活動する助産師として、育児期にある家族を支援している多くの場面をみさせていただきました。今振り返ると、学生として学び取ることができたのは、実践の一片に過ぎなかったと思います。それでも、常に女性やその家族のことを第一に考え、助産師としての専門的なケアの実践をし、そして、組織の管理や社会への情報発信をしている様子を目の当たりにした私は、「助産師はなんてパワフルなのだろう」、「このような助産師がいて、この地域に住んでいる子育て世代の方はいいなぁ」と感じたことを今でも鮮明に覚えています。
その後、私が助産師として勤務をしている時も、博士後期課程の学生の時も、教員になった今も、変わらずに多くのことを教えていただいています。目の前にいる女性とその家族だけではなく、多くの方の支援につなげるため、行政に働きかけている様子をそばで見させていただきながら、助産師のちからを感じています。
約10年前は学生だった立場からは変わり、今は、助産学生の教育を担当する教員となりました。自身で感じたことを、少しでも学生に伝えていきたいと思います。