第1話 病院選び 入院編

病院選びのヒント ―花子、入院する―

花子さんは42歳のお誕生日検診で医師から入院しての検査をすすめられました。 そこで、どこの病院に入院するか様々な情報をもとに考えました。

ランキング本、インターネット、パンフレットの画像

入院するなら「良い看護」がうけたいわ。
「良い看護」ってどうやって選べばいいのかしら...

病院案内パンフレットを見ていたら、病院ごとに「7対1」「10対1」と書いてありました。これっていったいどういうことなのかしら?

「7対1」や「10対1」は、看護職員(看護師・准看護師)1人に対する、入院患者の人数のことです。
つまり、「7対1」は、「看護職員1人あたり、7人の患者さんを受け持つ」、「10対1」は、「看護職員1人あたり、10人の患者さんを受け持つ」という意味です。

日本の医療機関における看護職員の人員配置は、医療法によって定められています。
現在の医療法では一般病床(主に急性の病気や手術をするなどの病気のときに入院する病床です)においては、入院患者数に対して雇用されている看護職員の数が「3対1」であることが最低基準として規定されています。

しかし、この「3対1」はあくまでも雇用されている看護職員の数であり、実際に働いている看護職員の数を表しているわけではありません。
「雇用されている人数」には、休日の看護職員や、夜勤明けで家に帰っている看護職員も含まれているからです。

また、看護職員を手厚く配置したり、平均在院日数が短い医療機関に対しては、診療報酬の「入院基本料」★の評価を高くするという仕組みがあります。
看護職員の人数が多くなると、この入院基本料も高くなるということです。
現在の診療報酬体系で、最も評価が高い看護職員の配置基準が「7対1入院基本料」です。一人の看護職員が受け持つ患者さんの数が最も少ないため、より手厚い看護を提供できる人員配置です。その分、入院基本料も高くなります。
「7対1入院基本料」の病院では、1日24時間を平均して患者さん7人に対して看護師1名が勤務しています。必要な看護師数は、病院のベッド数ではなく、実際に入院している患者さんの数をもとに計算されます。
「7対1」や「10対1」のほかに、「13対1」、「15対1」という基準もあります。
あくまで、「1日を平均して」の看護師数ですので、常に患者さん7人に対して看護師1名の配置になっているわけではなく、時間帯によって異なっています(第1章第2話参照)。

そこで、医療機関では、看護職員が実際に受け持っている患者さんの数を、時間帯(日勤・夜勤など)ごとに何人、と病棟の中の見やすいところに掲示することになっています。

「7対1入院基本料」は、より重症な患者さんに対して十分な医療が提供されるようにするため、2006年に導入されました。
しかし、導入した一部の病院に看護職員の雇用が集中し、特に地方の中小病院や診療所の看護職員が不足するという事態が起こりました。

そこで、「看護必要度」という仕組みが2008年から導入されました。
これは、その患者さんがどのくらい看護を必要としているか、という度合のことで、「入院患者に提供されるべき看護の必要量」と定義されています。
「看護必要度」を測ることによって、本当に看護を必要としている人のところに、より多くの看護職員を配置しようという考え方です。

そこで、現在の診療報酬では「7対1入院基本料」を算定する場合、その病棟に看護必要度が高い(つまり、より手厚い看護が必要な)患者さんが、一定数以上入院していなければならない、という基準が設けられています。

★注
診療報酬とは医療サービスの価格のことです。これが病院などの医療機関の主な収入源になります。
診療報酬の点数は1点=10円で、医療サービスの価格の一覧表といえる「診療報酬点数表」にまとめられています。この価格は全国一律です。
入院基本料は、入院することに対してかかる費用のことで。病室の利用や診療・看護などにかかる基本的な費用が含まれます。

そういえば、むかし完全看護って聞いたけど、それっていったい何かしら?

「完全看護」ってなに?

現在、「完全看護制度」はありません。完全看護制度は時代の流れの中で基準看護、新看護体系、入院基本料の包括へと変わってきました。
「完全看護」という言葉は、今では過去の言葉となりました。

1950年に試行された「完全看護制度」は、それまで、家族や付き添いによって行われていた入院患者の世話を、看護職によって行うことを目的として導入されました。「看護は看護師の手で」をスローガンに掲げましたが、それを実現するには看護体制があまりにも貧弱でした。
また、「完全看護」という呼称も、入院患者の世話をすべて看護師が行うという誤解を与えかねないという指摘があり、「標準的な看護のあり方を示すもの」として、1958年に「基準看護制度」に改められました。
基準看護制度では、医療法の看護配置基準である入院患者対看護要員の配置が創設され、看護配置の高い基準が次々と創設されていきました。

しかし、低い基準でさえ満たせない病院では、まだ付き添い看護が存続していました。そこで、1994年に「新看護体系」が創設されました。
1997年には全病院で付き添い看護が廃止され、看護サービスは診療報酬体系の中で「看護料」として評価されることになりました。

さらに2000年には、「看護料」が「入院基本料」の中に含まれることになりました。

参考文献

1. 井部俊子監修:看護管理学習テキスト第2版、第7巻、看護制度・政策論、日本看護協会出版会、2011
2. 福井トシ子、齋藤訓子編集:診療報酬・介護報酬のしくみと考え方 改定の意図を知り看護管理に活かす、日本看護協会出版会、2013
3. 岩澤和子、筒井孝子監修:看護必要度第5版、日本看護協会出版会、2014

花子さんは「看護」を基準の1つとして病院を選びました。 病院選びには様々な視点がありますが、あなたも花子さんのように「看護」の視点を病院選びのヒントにしてみてはいかがでしょうか。

> 第2話はこちら

看護コミュニティ

ページ評価アンケート

今後の記事投稿・更新の参考にさせていただきたいので、ぜひこの記事へのあなたの評価を投票してください。クリックするだけで投票できます。

Q.この記事や情報は役にたちましたか?

Q.具体的に役立った点や役に立たなかった点についてご記入ください。

例:○○の意味がわからなかった、リンクが切れていた、○○について知りたかったなど※記入していただいた内容に対してこちらから返信はしておりません

最大250文字