在宅で死ぬということ

2005.05.21
在宅で死ぬということ

押川真喜子:著
出版社:文芸春秋
発行年月日:2003年4月
税込1,300円
ISBN:4-163-59650-X

この本は、2005年5月に放映されたドラマ「やがて来る日のために」の原作本です。
脚本家の山田太一さんが、この本を読んで深く感動し、このテーマでドラマを作ろうと思い、著者である聖路加国際病院 訪問看護科ナースマネージャーの押川さんや訪問看護師の方たちに取材をし、ドラマ化したそうです。

<はじめに>
生きている限り、いつかは必ず死がおとずれます。
できれば、家族や他人に負担をかけずポックリいきたいと誰もが願っていると思います。しかし、なかなか思う通りにいかないのが現実です。

私の仕事は、その最期にむかう患者さんやご家族との出会いから始まることがほとんどです。悲しい出会いではありますが、百人の患者さんには百通りの生き方、最期があります。ひとがいつかは行きつかなければならない最期にむかって、どのように生きていくか、家族はどう見守っていくのか私はその都度、たくさんのことを学び、また考えさせられます。

この本は、私が出会った多くの患者さんの中から、「在宅で死を迎えた方」を中心に、出会いから別れまでを、訪問看護師として振り返った記録です。
さまざまな死を振り返るなかで、改めて自分の無力さを思い知ることもあり、つらい作業でもありました。しかし、患者さんと患者さんを介護するご家族の現実を見つめなおす機会になりました。

在宅療養を支える仕事をしている私ですが、「在宅死」は、誰でもが選択すべき最良の死に方だと思っているわけではありません。
私たち医療者にとっても、「死」は厳しい現実です。
それを間近で経験したことのない家族が主体となって看取(みと)る「在宅死」は、患者さんにもご家族にも「死」への受容や覚悟がよほどなければ、むずかしいことなのです。

死にゆく家族を見送るとき、どのように支えていけるのか、自分が最期を看取られるとき、どんな生き方あるいは死に方をしたいのか。この本が「死」を人生の終着点として前向きに考え、心の準備をするきっかけになれば幸いです。

聖路加国際病院 訪問看護科ナースマネージャー 押川真貴子

<目次>
  初めて経験した「在宅死」
  着られなかったウエディングドレス
  老夫婦の愛
  どうしても行きたかったディズニーランド
  大往生
  夫の決断・妻の決意
  威勢のいいおねえちゃん
  妻の在宅奮闘記
  在宅死という選択
  子供が助からない病気になったとき
  私の体験記 父の発病~在宅医療の限界

■聖路加看護大学人体教育研究会・研究ページ
在宅ホスピス(地域緩和ケア)

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