小児慢性特定疾患治療研究事業

患児家族への今後の支援システムのあり方

法制化後の小慢事業を軌道に乗せて、患児家族の療養環境を向上させ、一人ひとりの要望に応えていくためには、患児家族を支援する今以上のシステムの構築が必要である 10) 。医療、福祉、教育、社会支援活動、患児家族の連携を図るためには、お互いの協同的な対応、窓口の設置と人員の確保、日常生活支援のための準備と実際、医療機関からの書類の作成、情報発信等、以下のような事業を運営していく必要がある。

1.基盤整備事業

地域における支援システムの拠点となる場として、窓口の設置が必要である。慢性疾患の子どもの入院中から退院後の通院を考慮すると、医療機関またはその近隣に窓口を置くことが望まれる。支援チームの構成員としては、医療、保健、教育、福祉の関係者、患者家族会、ボランティア等が必要である。

2.日常生活支援事業

日常生活支援は、患児家族にとって必要となる支援計画に基づいて、その計画を実践し、評価していくことである。さらに家族あるいは教育機関への訪問サービス、レスパイトサービスの提供が望まれる。福祉との連携を図り、訪問看護ステーションからの訪問ケア、福祉施設におけるデイサービスやショートステイサービス等への入所、保健所からの協力に対する働きかけ等が実施できると良い。

3.相談事業

患児が入院中また外来通院中、家族は様々な疑問や不安を抱えている。相談窓口を通して、相談に応じ、慢性疾患の療養に必要な情報の提供、具体的な指導、公費負担制度によるサービス提供の手続きや登録に関する説明も含めて行うことが必要である。

4.情報発信事業

広報や啓発として、また相談への対応を含めて、セキュリティを保障したホームページの作成と運営がネットワークの輪を広げる。家族同士の情報の共有と交換のための「しゃべり場」、自ら学習するための「学びの場」、ホームページを含めた「発信の場」等の展開が望まれる。

また、疾患や治療、生活上の注意点等に関するパンフレットや書籍の作成と配布、そして、講演会や公開講座、シンポジウム、研修会等による情報発信や情報交換の実施も望まれる。