呼吸のしくみと呼吸の病気、在宅酸素療法・在宅人工呼吸療法に役立つ様々な治療やシステムなどについて、学んでみませんか?
『呼吸生き息き読本シリーズ』は、呼吸器系の病気などによって、慢性呼吸不全になった方や、喘息をおもちの方、在宅酸素療法、在宅人工呼吸療法を行いながら生活している方々の療養生活のサポートをするために作られました。
呼吸のしくみと呼吸の病気や、在宅酸素療法・在宅人工呼吸療法について、在宅療養生活上の留意点、自己管理に必要な機器の使い方、呼吸法と運動、くすりと吸入の管理、食事と栄養、日常生活の楽しみ方、社会資源・介護保険の活用法、在宅酸素療法のための療養支援遠隔 看護システム(LMS-HOT)の活用法といった観点から、わかりやすくまとめています。
生きがいをもって、安定した療養生活を送っていただくためには、自己管理が大変重要です。
これらのシリーズをお読みいただくことで、自己管理のポイントを理解し、ご家族とともに療養に前向きに取り組んでいただきたいと思います。
わたしたちは、1日に2万回も呼吸しています。絶えず、大気中から酸素を取り入れ、炭酸ガスを吐き出して生きています。それは、空気中にある酸素が、心臓 などの臓器や手足、その他の筋肉を動かしたり、頭を働かせ考え事をするために、なくてはならないものだからです。空気中にある酸素が、肺に達すると毛細血管でガス交換され、心臓と動脈の血管を通って全身に送られます。酸素が使われた結果、全身に生じた炭酸ガスは、逆に静脈血管と心臓を通って肺に戻り、呼気 とともに大気に吐き出されます。
冊子『呼吸器系のしくみ』より私たちは、いつも呼吸をして、大気中から体内に酸素を取り入れ、不要な炭酸ガスを吐き出して生きています。しかし、この生命維持になくてはならない酸素 は、体内で保存することができません。肺の中では蓄えられますが、たったの数分間しかもちません。これが他の栄養素と全く異なるところです。静かに寝てい るときに必要な酸素の量は1分間あたり約20ml(ミリリットル)といわれています。激しい運動時や高熱があるときは、安静時の10倍もの酸素量が必要です。これらに必要な酸素は全て大気中から肺を介して体内に取り入れられ、生体内のエネルギーを作り出しています。大気中には約21%の酸素がありますが、それだけでは不足することがあります。肺や心臓の病気、あるいは酸素を運んでくれる血液中のヘモグロビンの異常を起こしている場合です。そういう状態に なったときには不足する酸素を補わなければなりません。酸素療法とは、酸素不足、つまり低酸素血症に陥っている組織細胞に、濃度の高い酸素を吸入して十分な酸素を供給し、組織細胞が正常に機能する酸素量に保ち低酸素状態を改善することなのです。
冊子『酸素療法とは?』より