エビデンスを活用するために

2014.10.22

エビデンスのある記事を探したらそれでいいかというと、そういうことではありません。 エビデンスはあくまでもいい医療を受けるための道具です。その道具をどのように使うかを決めるのは医療を受ける患者さん自身なのです。

エビデンスに基づいた選択

自分の治療法をあなたはどのように決めていますか? 「医者がいったから」「テレビで紹介されていたから」などの理由で決めていませんでしたか?

医者やマスメディアを信用するなといっているのではありません。しかし、情報を鵜呑みにすることなく、その治療法の根拠を知った上で治療法を選択することはとても大切なことです。

最近は、インフォームドコンセントという言葉もさかんに言われるようになってきました。
自分の治療に対して医療者側からきちんと説明を受け、内容を理解した上でどうしたいのかを患者さん自身が決めることがとても重要なのです。
これは「自分で何でも決めなくてはいけない」という事ではありません。
患者が決める・医師と一緒に決める・医師に決めてもらうなど、どのように治療内容を決めていくのか、それを決めることもとても大切なことです。

効果があるとはどういう事か?

治療についての情報を得る際、その「効果」について考えておく必要があります。 医療の現場でもそれは同じです。なぜなら、あなたが考えている「効果」と医療者側が考えている「効果」が違う可能性もあるからです。

例えば「この薬は癌に効果がある」という場合、その効果は何をさしていると考えますか?「癌が消えること」かもしれないし「癌の進行を遅らせる」ことかもしれません。あるいは「癌による症状を抑える」ことも「効果がある」と言えるかもしれません。 医師が「この薬は効果があります」といった場合の期待して いる効果は、もしかしたらあなたが期待している効果とは違う効果かもしれないのです。

医療情報を探す場合にはエビデンスだけでなくその治療目的が自分と同じものかをよく考えて探すことも必要です。その上で、その情報からわかった治療が自分にも使えるかを考え、選択していけるのです。

POINT

  • 大切なのは「エビデンスがあること」ではなく「自分が望む医療を受けるためにエビデンスを活用すること」
  • 自分の望む医療・効果を医師と話し、選択していくことが患者中心の医療につながっていく。

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本コンテンツの執筆について

本コンテンツ「EBMによる患者中心の医療」は、聖路加国際大学に2006年に提出した卒業論文(看護研究II、指導教員:中山和弘) 「市民へのヘルスリテラシーの向上を促すためのWebコンテンツ 『EBMによる患者中心の医療とは』の作成」の一部を加筆・修正したものである。

製作者:宮口萌

看護の知識

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